テレビ局「意外と女性を優遇?」局員が明かす現実 今年50回目の「国際女性デー」、意識は変わったか

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このような女性優先の番組制作が進められているのは、ひとえに視聴率獲得のため。男性より女性のほうがテレビをリアルタイムで見てくれるし、消費行動でも期待できるためスポンサー受けがよく、おのずと女性優先になっていきます。

いずれにしても、現在テレビの視聴者層は女性中心であり、その傾向はますます進んでいるように見えます。その意味で今後はますます女性スタッフと女性タレントの起用は増えそうですし、女性優先というジェンダーギャップは広がっていくのではないでしょうか。

騒動で「アルハラ」は払拭されたか

そして最後にふれておきたいのが、フジテレビの騒動で不安視されているハラスメントや性加害について。

率直に書くと、2000年代あたりまでは「ハラスメントくらいは当たり前」というムードがあり、実際に局員から何度か話を聞いていました。「これくらいならOKだろ?」「性的な会話や飲み会への参加も仕事のうち」「どうかわすかも評価の対象」などと言われたことを女性の口から聞いていたのです。

「懇親会」「打ち上げ」などと称した飲み会を各部署が開催。1カ月前に会った40代の女性局員は「若手の女性局員が駆り出されてタレント、スポンサー、上司の接待役を務めることが他業界以上に多かった」「『タレントやスポンサーが来るのに若手の女性局員が行かないのはありえない』というムードだった」などと語っていました。

ただ、2010年代中盤に入ると、そんなテレビ局にも少しずつ変化が表れました。その理由は主に以下の2つ。

1つ目は視聴率低下に伴う業績悪化で「経費の使用が厳しくなった」「打ち上げの数も参加人数も減った」などと言われていました。

2つ目は世間の変化。コンプライアンス順守の動きが進み、東日本大震災を経て個人の尊重を求める声が高まり、SNSが浸透して告発の場が確保されるなど、テレビ業界に限らずハラスメントが減っていく背景がありました。

その一方で、テレビマンたち自身が「テレビ業界は多い」と言っていた女性局員へのアルコール・ハラスメントが完全になくなったわけではないでしょう。事実、20代後半の女性局員から「いまだにタレントやスポンサーの前で『もっと飲んで』『酔いが全然足りない』『酒を断るのは失礼だから』『飲めないやつは仕事ができない』などと言われる」という声を聞きました。

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