テレビ局「意外と女性を優遇?」局員が明かす現実 今年50回目の「国際女性デー」、意識は変わったか

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では、番組の制作現場でジェンダーギャップや差別はないのか。筆者自身、番組取材していると、2010年代に入ったあたりまでは女性に対する配慮が少なく、「女性をあんなふうに扱うのか」「男性が女性にあんな言い方をするのか」と疑問を感じる機会が少なくありませんでした。

アナウンサーの男女差別はあるのか

バラエティは多くのタレントが出演し、報道・情報番組は生放送の緊迫感があるため、それぞれ無駄やミスがない仕事が要求されます。「動きが悪い」と他業界以上に厳しい言葉で叱られる女性を見ましたし、「女性のクセに気が利かない。センスが悪い」などと言われたり、頭をはたかれたりするところを何度か見ました。

このような言動はジェンダー差別の一例と言っていいでしょう。ただ近年では出入り業者も含め、このような言動は本当に見なくなりましたし、少なくとも女性を引き立て役や補助役のように軽く扱う男性局員は減ったという感があります。その代わりに番組のジャンルや部署を問わず、局内で女性局員が活躍する場が増えました。

とりわけドラマにおける女性局員の存在感は年々増していて、近年は女性プロデューサーを中心に制作される作品が増えています。脚本家や原作者、芸能事務所やメディアの対応なども含め、ドラマにおける女性スタッフの存在感が年々高まっているのは間違いないでしょう。

また、アナウンサーについては、「極端な女性優先」という状況が変わっていません。この点では逆に「多くの男性アナウンサーが入社間もないころからジェンダー差別に近い扱いを受けている」ように見えます。

ただ、必ずしも女性アナウンサーが良い立場にいるとも言い切れません。局内で会う女性アナウンサーは大半がたたずまいも物腰も一般企業のOLに近く、他の局員と同じように扱われています。しかし、番組ではタレントのように起用され、視聴者にも認識されるというギャップを抱えて悩んでいる人も少なくありません。

そもそも女性アナウンサー優先は、収益を左右するビジネス上の戦略。他業界にも見られる戦略的な人事だけに、単純に「『ジェンダーギャップだ』と批判していいのか」については議論が必要でしょう。

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