共産党が提唱する「国民連合政府」の現実味 高いハードルを乗り越えられるか

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さて28日の会談の後の記者会見で、志位氏はこれまでにないほどのすがすがしい表情を見せた。「小沢代表から『共闘は従来の方針の大転換で、高く評価する』と言われた。全面的に合意に至った。大変うれしい結果だ」と誇らしげに述べている。

ただし道のりは容易ではない。同日午後1時から行われた社民党との党首会談では、吉田忠智党首から「大胆な踏み込んだ提案だ。前向きにしっかりと議論を進めていきたい」「様々な困難があるかもしれないが、連立政権の方向性には賛同する」と同意をもらったものの、25日午後3時半からの民主党との党首会談で岡田克也代表は、「共産党と政府をともにするのはハードルが高い」と及び腰だったからだ。

確かに民主党内部では、“共産党アレルギーなるもの”が存在する。9月24日の幹部会で細野豪志政調会長が「『国民連合政府』は到底実現できる中身ではない」と、党首会談自体に反対。また前原誠司元外相も同日の凌雲会の会合で、「逃げる票の方が多い」と批判している。

維新の党との党首会談は実現せず

維新の党については、共産党から呼びかけをしているものの、いまだ党首会談実現の目途もついていない。志位氏は24日に偶然に国会内で会った松野頼久同党代表に、「清水の舞台から飛び降りるつもりで覚悟しました」とアピールし、側にいた穀田氏が「一緒に飛び降りましょう」と誘ったものの、松野氏はただ苦笑いするのみ。ちなみに同日の会見で、松野氏は「共産党は再編の仲間ではない」と断言している。

しかし民主党と維新の党が参加しなければ、『国民連合政府』は実現できない代物だ。一方で民主党や維新の党も、増加傾向にある共産党の票は魅力的な存在であることは間違いない。

共産党は2012年の衆院選で、小選挙区で470万票、比例区で370万票を獲得した。躍進が報じられた2013年の参院選では、選挙区では560万票、比例区では520万票になり、2014年の衆院選では小選挙区で700万票、比例区で600万票にも増えている。こうした傾向を踏まえて野党が共闘した場合、次期参院選で野党が7、8の1人区を獲得するという試算が出ている。

また小林節慶應大学名誉教授などは、9月13日に行われた山形市長選の結果を踏まえて、共産党の働きを評価する。小林名誉教授の教え子であり、民主党、共産党、社民党、生活の党が推薦した梅津庸成氏が、自民党、公明党、次世代の党、新党改革が推薦して当選した佐藤孝弘氏に1773票の僅差まで迫ったからだ。

28日夜に共産党本部から配信された動画で、小林名誉教授は「共産党が一番動いてくれた。彼らは何万枚ものビラを作ってくれたが、その中で共産党をアピールすることはなかった。むしろ、他の党が共産党のアレルギーを取り除くことが必要だ」と述べている。

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