共産党が提唱する「国民連合政府」の現実味 高いハードルを乗り越えられるか
実際のところ、民主党内でも共産党の票への期待感は存在する。「共産党に協力するのは嫌だが、こちらが候補を立てる選挙区で共産党に協力してもらうのはやぶさかではない」という声もあるのだ。
民主党が政権を獲得した2009年の衆院選で、いつもなら300の小選挙区のほとんどに候補を擁立する共産党が152選挙区しか擁立せず、これが結果的に民主党の躍進の一助になったことも無視できない事実だ。
しかも次期参院選で、民主党の非改選議席数はわずか17議席で、これ以上議席を減らすことはできない状態。このように考えると共闘による選挙はむしろ、民主党に多くのメリットをもたらすものではないのか。
共産党も「変わる努力」
一方で共産党も、“共産党アレルギー”を減らすことに務めている。そのために「国民連合政府」には、閣内閣外の条件を付けないとしている。首班指名にも柔軟な姿勢を見せ、他党の党首の名前を書くこともいとわない。これは共産党がめったに行わない大きな方針転換だ。政党によって差異のあるその他の政策についても、「ひとまず横に置く」としている。
というもの、彼らの究極的な目的は政権の座に座ることではなく、昨年7月1日の閣議決定の撤回だからだ。9月19日の会見で志位氏は、「『閣議決定』が残る限り、『海外で戦争する国』づくりの火種が残り、政府の勝手な解釈変更によって憲法9条を事実上形骸化するという立憲主義に反した異常状態が続くことになる」と述べている。
そんな志位氏を「勝負に出た」と見るむきもある。35歳の若さで党書記局長に抜擢されたのが四半世紀前の1990年。不破哲三氏の後を受けて委員長に就任してからも、はや15年がたっている。志位氏にとっては、このあたりで「歴史を作りたい」と思っているのではないか。すでに野党の軸は、共産党を中心に回り始めている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら