永谷:ここで気をつけなくてはならないのが、「ありふれた体験への味付け」ということ。
たとえば、ただ漁船に乗せるだけではダメで、漁師さんと一緒に海の状況を聞きながら魚を捕り、港に帰って調理して食べるような体験にする。それだけで単価を3~4倍にできます。
また、ただのいちご狩り体験だと単価は1500円ほどですが、たとえば、その場でいちごを切り、生クリームをのせ、パフェ作りと食体験。これなら「5000円でもやりたい」という人はいるはず。

「高付加価値化」の観点を忘れてはいけません。
「地域のホンモノ体験」には、お金を払う
鈴木:漁船の例だと、漁師さんが普段食べている「漁師メシ」を一緒に食べる。
追加のリソースやコストがあまりかからないというのもミソですね。
永谷:その通りで、観光客の体験価値は「見るだけ」と「とれたてを食べる」では、雲泥の差です。
これはいわば「地域のホンモノ体験」。
インバウンド向けの高付加価値化が叫ばれていますが、ただ単価を上げるのではなく、「ホンモノ体験」にこそ価値があります。
そのためには、「特別なこと」を作らず、むしろ普段通りの仕事を「価値ある体験」にしたほうがいい。