錯覚から探る「見る」ことの危うさ《第5回》--写真で嘘をつく方法、マンション広告写真がステキな理由

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一方、マラソンランナーを正面から撮影するときには、焦点距離の長い望遠レンズが使われる。すなわち、図4に示すように、撮像面からかなり離れた位置にレンズ中心を置いて映像が撮影される。その映像を茶の間で見る人は、図5に示すように、レンズ中心より画面に近いところで見ることになる。
 
 その位置からランナーを通常の人の大きさまで復元すると、遠くの小ささが実際ほど強調されず、奥行き方向が縮んで知覚されるために、ランナーの間隔が詰まって見えてしまうのである。


このように、写真を撮影する際のレンズ中心と、その写真を眺めるときの視点位置を恣意的に変えることによって、実際とは異なる印象を写真で作り出すことができる。インターネットによる通信販売などのように、画像が商品を確認する唯一の手段となる場面では、このような視点のトリックを野放しにしないための法規制を早急に整備することが必要であろう。

すぎはら・こうきち
明治大学特任教授、工学博士。岐阜県生まれ。電子技術総合研究所、名古屋大学、東京大学などを経て現職。2010年ベスト錯覚コンテストで優勝。趣味はそば打ち。

チラシの写真はイメージです。本文とは関係ありません。撮影:今井康一
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