漫才・コント競う「ダブルインパクト」秘める可能性 他の賞レースとどう差別化を図っていくか

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すでに「漫才」「コント」各々の大会や王者は存在するため、まずはそれらと“二刀流の大会”との違いを示すことが重要ではないか。漫才とコントの巧者が活躍するのは間違いないだろうが、大会のシステムを工夫しなければ「また同じような賞レースが始まった」という印象が強くなる。

漫才とコントを横並びに披露するだけでは、あまりに見応えがなく冗長に感じやすい。だからこそ、漫才とコントのどちらで勝負するかを本番になって決定するようなゲーム性が必要だという気がしてならない。

逆に言えば、大会独自のスリリングなシステムを構築できれば、“今までにないユニークな賞レース”として支持を得られるのではないか。

夏の賞レースの代名詞となる可能性も

『ダブルインパクト』に対する反応はさまざまだ。ロングコートダディやジャルジャル、かもめんたる、男性ブランコ、ダンビラムーチョといった優勝候補を挙げて盛り上がる者もいれば、「賞レースが増えすぎ」との声もある。

スーパーマラドーナ・武智がコンビのYouTubeチャンネルで口にしていたように「賞レースを選ぶ時代」と考える芸人もいる一方で、ラジオ番組の中で「ちょっと様子見で」と初回には出場しない意向を示したマヂカルラブリーのようなケースもある。

別の見方をすれば、テレビプロデューサー・佐久間宣行氏が自身のラジオ番組で語っていたように“漫才コントは、漫才かコントか”の線引きも見えず、例えば「コントは4人、漫才はふたり」といったエントリーの仕方が可能かどうかもわからない。

もちろんどんな大会であっても、スタート時点では誰もが期待と懸念を抱くものだ。M-1元年の2001年は予選会場で牧歌的な雰囲気が漂っていたようだし、2008年に始まったキングオブコントの初期は雑談で予選に臨む出場者もいたと聞く。ただ、ジャンルが明確な分、開催を重ねるごとに大会の色もついていった。

『ダブルインパクト』は、そうしたジャンルによる求心力こそないが、やり方次第で夏の賞レースの代名詞となる可能性も秘めている。予選は4月からスタートする。ネガティブな声を一蹴するような大会になることを期待したい。

鈴木 旭 ライター/お笑い研究家

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Akira Suzuki

2001年から東京を拠点にエモーショナル・ハードコア/ポストロックバンドのギターとして3年半活動。脱退後、制作会社で放送作家、個人で芸人コンビとの合同コント制作、トークライブのサポート、ネットラジオの構成・編集などの経験を経てライターに転向。現在、『withnews』『文春オンライン』『現代ビジネス』『FRIDAYデジタル』といったウェブ媒体、『週刊プレイボーイ』(集英社)などの紙媒体で記事執筆中。著書に著名人6名のインタビュー、番組スタッフの声、独自の考察をまとめた『志村けん論』(朝日新聞出版)がある。

 

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