ギリ10万円を切る新型「iPhone 16e」は誰向け? C1搭載で、こだわりを見せた「バッテリー性能」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

補足すると、今回のいわゆる「Appleレート」(アップルが設定する為替レート)は、1ドル151円46銭で、現在の為替レートを反映している。これまで販売されてきたiPhone SEでは133円08銭だったことから、ドルでの価格上昇と円安の「二重の値上げ」になってしまった。

※日本の販売価格は税込のため、税抜価格に戻してからドル円レートを計算しています。

それでもiPhone 16eを出す理由

iPhone 16eが登場した後、株価は大きな変化がなく、投資家はポジティブともネガティブとも判断していない様子が伝わってくる。もちろん価格上昇を嘆く声も海外から聞こえてくるが、バリューありと判断している側面も見受けられた。

アップルとしては、iPhone 16eを、必ずしもiPhone SEの後継モデルと位置付けておらず、iPhone 16の良い機能を抜き出し、より身近な価格設定で登場させようという意図のほうが強いかもしれない。

Apple Intelligenceをサポートした点も、競争力を高める施策となった(画像:アップル)

カメラの数が1つになり、MagSafe(高速ワイヤレス充電)やUWBが省かれた点はiPhone SEのこれまでのモデルと同様だったが、iPhone SEがカバーしているユーザー層は、それら機能を気にしていない、とアップルが判断した可能性がある。

加えて、これまで3年に一度程度の刷新だったiPhone SEに、16という年次のモデルナンバーを加えたのは、サムスンやグーグルPixelと同様で、価格を抑えたモデルも、毎年刷新していくサイクルを作り出そうと考えているかもしれない。

これによって、廉価モデルの価格を今回のように上げることができ、またミドルレンジのモデルに埋もれない性能や価値へとアップデートし続ける狙いがあるのではないだろうか。

iPhone 16eには、随所に割り切りが見られる。

ハイエンドモデルには当然のように搭載されているMagSafeやUWBといった機能は省かれ、差別化を明確に保つ努力の跡が見られる。おそらくiPhone 16eのターゲットは、これらの機能を「気にしない」人たちなのだ。

白と黒だけのカラー展開も、多くの人がケースをつけることから、最低限のカラーバリエーションにとどめて、製造と販売の在庫リスクを低減させた点も工夫が見られる。

そのうえで、バッテリー性能を振り切り、特徴とした点に注目している。確かに、バッテリーは、あらゆるスマホユーザーにとって重要な、最大公約数的な性能と言えるからだ。

実際、上位モデルと比較して、iPhone 16eのポテンシャルや、売りとなるバッテリー性能はどうなるのか。レビュー記事もお楽しみに。

松村 太郎 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事