地方税改革の経済学 佐藤主光著 ~迷走を重ねる改革にあるべき大胆案を提示

地方の基幹税である固定資産税は、住民への応益性の高い税として理論上、望ましい。しかし、現実には工場など償却資産ばかり課税され、事実上の法人課税となっているため、償却資産から土地に課税の重点をシフトすべきと言う。日本の法人税の実効税率が高いのは、これらの要因も影響しており、グローバリゼーションへの対応という点からも、地方税改革は不可欠である。このほか、交付税が財源保障と財政調整の二つの機能を併せ持つことが、地方が財政規律を失う要因になっている点を重視し、二つの機能を分離する交付税改革案を論じている。

霞が関や地方自治の現場からは、本書の改革案が現状から大きく乖離し、現実的ではないという批判もあるだろう。しかし、役所が得意とする増分主義的発想の改革は、完全に行き詰まっている。本書が示す大胆な改革が必要である。

さとう・もとひろ
一橋大学大学院経済学研究科・政策大学院教授。1969年生まれ。一橋大学経済学部卒業、カナダのクイーンズ大学経済学部博士課程修了。Ph.D.を取得。一橋大学大学院経済学研究科専任講師、助教授、准教授を経て、2009年から現職。

日本経済新聞出版社 2940円 358ページ

  

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