消費増税は実現できるのか “前のめり”の野田首相に立ちはだかる三つの難題

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その第一は、歳出削減につながる政治改革や行政改革の実行である。これは、政府自らが「身を切る」姿勢を示すためのものだ。

この点は、野田首相も断行する意向を示している。自民、公明両党と合意した国家公務員給与の8%削減に続き、国会議員の歳費(給与)や定数の削減でも今国会への法案提出や合意を目指して準備を進めている。

これらの改革は本来、消費増税とは関係なく、不断に実行すべきものだ。そもそも民主党はマニフェストで国家公務員の総人件費2割削減を掲げ、給与8%削減は東日本大震災の復興財源にも組み込まれた。給与8%削減の法案では、削減額は12、13年度の2年間で約6000億円の見込み。これは2年間にとどまらず、少なくとも震災復興期間とされる10年間程度は実施すべきだ。

また、国会議員の歳費については、特例法に基づき復興財源に充てるため、昨年4~9月の間、毎月130万円のうち50万円を削減したが、10月からは元に戻った。こちらも、今後10年間程度は実施すべきだ。

政治・行政改革にはこのほか、特別会計や独立行政法人の改革も含まれることは言うまでもない。

第二の課題は、消費税における制度上の欠点の是正だ。代表例が低所得者への対策である。消費税では低所得者ほど相対的に負担が大きくなる逆進性の問題が懸念されている。

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