消費増税は実現できるのか “前のめり”の野田首相に立ちはだかる三つの難題

低所得者対策の主な手段としては、軽減税率(非課税措置も含む)と給付付き税額控除の二つがある。

軽減税率は、欧州の多くの国で導入されている。ところが日本では、消極的な意見が多い。最大の理由は、軽減税率や非課税の品目を選定する作業が非常に難しいことだ。森信茂樹・中央大学法科大学院教授は、「食料品に軽減税率を導入する場合、たとえば松阪牛はどうするかといった議論になり収拾がつかない。政治的な判断が絡み、利権の温床となる危険性もある」と指摘する。

軽減税率を導入している諸外国では、ハンバーガーを店内で食べれば標準税率、持ち帰れば軽減税率が適用されるようなケースがあり、店と消費者に混乱が起きたりしている。

加えて軽減税率は高所得者にまで恩恵が及ぶ点も、好ましくない理由とされている。

一方、給付付き税額控除は、低所得者の所得税を一定額控除する制度で、納税額が控除額より少ない層や非課税層には現金給付を行う仕組みだ。カナダやオーストラリア、シンガポールなどで採用されている。

ただ、これにも欠点がある。公平な実施には所得の正確な捕捉が前提のため、いわゆる「クロヨン」問題がネックになることだ。表面上の所得が少ない事業所得者や、膨大な金融資産を保有しながら勤労所得や年金所得が少ない層へ給付付き税額控除を適用すれば、国民の不満は高まる。これを解決するには、納税者番号導入によって、利子所得などの完全な捕捉を実現する必要がある。政府は15年1月からの社会保障と税の共通番号導入を目指しているが、課税の公平性確保のためにも、ぜひ実現してもらいたいものだ。

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