「インフラ更新が心配」な街ランキング・関西編 将来の更新費用が膨らむ自治体は全体の96%

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さらに、増減率が100%以上、つまり将来の更新費用が現在の2倍以上に膨らむと試算される自治体は44市。全体の約半数(44.4%)を占め、これも南関東編(38.4%)を上回る結果となった。

大半の自治体の管理計画では、劣化の進む前に修繕する予防保全を導入したり、大規模修繕により耐用年数を延ばしたりする「長寿命化対策」でコストを削減する方針を掲げている。上記の数字は、その長寿命化対策を反映していないことは再度申し添えておく(耐用年数経過時に単純更新したものと想定)。

ただし、その長寿命化対策を反映したとしても、なお8割を超える自治体が現在の更新費用をオーバーする計算となる。

将来の更新費用が「5倍」となった自治体

今回のランキングで増減率のスコアがとりわけ高くなった自治体にフォーカスして、個別の管理計画を見てみよう。

① 大阪府交野市(増減率:417.1%)

大阪府の北東部、奈良県との県境に位置する交野市。市域の半分を山林が占める一方で、JR大阪駅まで電車で約50分と交通利便性も高い、緑豊かな田園都市だ。

同市の管理計画(2022年3月改訂)によると、インフラにかかる直近の投資的経費(建て替え、改修などに要する経費)は年平均9.2億円。それに対して、同市の試算によると、すべてのインフラの更新費用は40年間で総額1531億円。年平均38.3億円かかる見込みとなる。

同市の人口は7.7万人(2022年/住民基本台帳、以下同)だが、2040年には6.2万人に減少する見通し(国立人口問題・社会保障研究所の推計)だ。この人口動態を加味して算出した増減率は417.1%と、現状の5倍以上に増加する結果となった。

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