地元経済界の悲願「道の駅」を大手に任せる茅ヶ崎 地域の企業が活性化してこその地方創生では

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石田氏は2018年の独立まで茅ヶ崎にあった魚市場で働いていた。かつて汗を流した魚市場は同年に平塚魚市場と合併し、今は存在しない。だが石田氏は地域の漁業を活性化させ、再び茅ヶ崎市に魚市場を作ることを夢見ている。石田氏はこう語る。

茅ヶ崎の漁業を活性化させる夢を語る茅ヶ崎イシラスの石田智代表(筆者撮影)

「全国的に漁獲量が減っているが、なんとか地元の漁師や生産者を支えたい。水揚げしたばかりの新鮮なシラスを現地で釜揚げして、すぐに食べられて、同時に漁師体験も提供できるような複合施設を作りたいという夢をもともと持っていた。残念ながら、今の『道の駅』計画は僕が抱いている構想とは少し違う。本当にこのやり方で地域は活性化するのだろうか」

道の駅を運営する組織の関連団体「道の駅連絡会」のホームページには、道の駅の基本コンセプトが、こう書かれている。

 「『道の駅』は安全で快適に道路を利用するための道路交通環境の提供、地域のにぎわい創出を目的とした施設で、『地域とともにつくる個性豊かなにぎわいの場』を基本コンセプトにしています」

長年計画を練っていた地元企業グループが「道の駅」事業を受注できなかった。公平な競争の結果ならば仕方ないだろう。だが、「地域とともにつくる個性豊かなにぎわいの場」という道の駅が本来目指すべき姿が忘れられていないか。道の駅は誰のためにあるのか。観光客のためか、地域社会のためか、それとも業者の利益のためか。

都市部を拠点とする一部の大企業グループが、地方の産業活性化のチャンスを奪っている構図ともいえよう。市による審査が妥当であったか、検証も必要だ。

鈴木 貫太郎 ジャーナリスト

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すずき・かんたろう / Kantaro Suzuki

1981年生まれ。東京電力退社後、米オハイオ州の大学を卒業。早稲田大学ジャーナリズム大学院修了。米ニューヨーク・タイムズ東京支局、フィリピンの邦字新聞を経てフリーに。

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