だが、公募では大和リースを代表とするグループが選ばれ、地元「チーム茅ヶ崎」の努力は実らなかった。
田中氏はこう憤る。
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「短期的な利益優先主義ではなく、将来につながる地域おこしの観点が道の駅の運営には重要だと考えてきた。時間をかけ、地域が一体となって計画してきた事業に地元企業体が参画できないのならば、『地元を盛り上げよう』という気運が生じない街になってしまうのではないか」
選考結果に疑義を抱いた田中氏らは、市長宛に公開質問状を提出し再審査を要求。市議会でも一時議論されたが、市側から納得のいく答えは得られぬまま現在に至っている。
設計・建設・運営すべて外部が中心
選考結果に納得できないという声は少なくない。
前述の通り、受注者の代表企業である大和リースは大阪に本社を置く大手企業。「道の駅」の設計を担ったのは宮城県仙台市の会社で、運営を担うのも栃木県の企業「ファーマーズ・フォレスト」だ。
つまり大和リースグループは県外の企業が中心で、計画段階で参画が決まっていた地元の企業は建設関係の2社のみだった。対する地元「チーム茅ヶ崎」は設計・建設・運営のほぼすべてを地元企業が担う計画だった。
田中氏が指摘するように「地元経済の活性化」という点を重要視するのならば、チーム茅ヶ崎の提案が有効であったかもしれない。開業後の順調な運営を目指して「チーム茅ヶ崎」は地元企業と事前に調整を重ね、市内の企業約50社から事業への参加関心表明を取り付けていた。販売される物産の50%を茅ヶ崎市内の生産物で占められるように、地産食材を使ったメニューを販売できる企業とも協力関係を結んでいた。
一方、大和リース側の運営会社「ファーマーズ・フォレスト」が提示していた地元物産品の割合は20%。2025年7月の開業までには地元の飲食店や食材も出揃う予定だが、審査の段階では地元企業が開発した独自メニューは提示していなかった。
両グループの提案を審査したのは、市が設置した事業者選定委員会。事業計画や運営・維持などの項目を、学識経験者や近隣自治会関係者らで構成する計6人が評価した。結果、価格面以外ほぼすべての項目で大和リース側が地元企業グループを上回った。
茅ヶ崎市のホームページに掲載された審査講評には「『事業計画に関する事項』や『運営に関する事項』で高い評価を得ており、事業の安定性、集客向上や販路拡大において優れた提案であった」と大和リース側を高評価している。
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