「人類より豚にふさわしい」と言われた嗜好品 教養として知りたい「カカオの知られざる歴史」
カカオのルーツについては諸説ありますが、一般的には南米のアマゾン川上流とされています。カカオの故郷は南米であり、人類がカカオを食用目的で利用しはじめたのもエクアドルであったことが確認されています。
その後、カカオは南米から中南米へと伝わっていき、メキシコで作物として栽培されるようになりました。
古代メキシコとカカオには、深い関わりがあります。メキシコ湾岸地域ではオルメカ文明、ユカタン半島ではマヤ文明、そして内陸部ではアステカ文明が栄えました。いずれも高度な古代文明です。
神々への捧げ物としても使われていた
それらの文明において、カカオは非常に貴重な存在でした。今でこそチョコレートは私たちの日常的なおやつとなっていますが、もし私たちが当時のメキシコに生まれていたら、気軽に楽しむなんてとんでもない! カカオを口にできたのは、王族や特権階級の人々だけでした。
また、神聖なものとされていたため、神々への捧げ物としても使われていました。カカオは特別で高価なものだったので、一般の人々がカカオを味わう機会はなかったのです。
カカオの価値を物語る象徴的なエピソードがあります。それは、カカオ豆自体が貨幣として使われていたことです。
マヤ文明やアステカ文明では、カカオ豆そのものがお金でした。カカオ豆は食材だけではなく、物々交換や支払いのための手段でもあったのです。
そんなお金になるものを、毎日すりつぶして飲む人がいたらギョッとすると思いますが、かつての王様は、実際にカカオ豆を飲み物にして毎日飲んでいたと伝えられています。貨幣でありながら、それを味わえるという贅沢さが、彼らの特別な地位を物語っています。
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