「人類より豚にふさわしい」と言われた嗜好品 教養として知りたい「カカオの知られざる歴史」

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貨幣としてのカカオの価値については、1545年頃の記録によると、  

熟れたアボカド1個 = カカオ豆1粒  
七面鳥の卵1個   = カカオ豆3粒  
野兎         = カカオ豆100粒  
雄の七面鳥      = カカオ豆200粒

とされています。当時の食生活も、垣間見えますね。

カカオ豆が貨幣になった理由は、硬くて割れにくく、扱いやすかったからでもあるようです。現代の私たちは、かつて貨幣だったカカオを日常的に味わえるのですから、まるで古代の王様のようですね。

カカオとコロンブスの意外な関係

このように、カカオは南米から中南米のメキシコで育ちました。では、どうして海を越えてヨーロッパに渡り、チョコレートになったのでしょうか? 

ここで大航海時代の有名な探検家、あのクリストファー・コロンブスにまつわる話をしましょう。

クリストファー・コロンブスとカカオには、じつは意外な関係性があります。彼は、ヨーロッパ人で初めてカカオ豆に出会った人物とされているのです。

ときは1502年、スペイン人がアステカ帝国を征服する前のこと。コロンブスは、4回目(最後)の航海に出たときに、ホンジュラス沖のグアナハ島で、マヤ人が乗った大きな交易船に遭遇しました。

船には、根菜やトウモロコシ、そして「アーモンド」と当時は考えられていたものが積まれていました。このときのことを、コロンブスの息子のフェルナンドは『提督クリストバル・コロンブスの歴史』のなかで、こう書いています。

(船の中には)根菜類や穀物、トウモロコシ、たくさんのアーモンドがあった。アーモンドは、非常に高価なものらしかった。こぼれ落ちると、人々はまるで目玉でも落としたかのように、大慌てでしゃがんで拾っていた。

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