与野党「大連立」の石破構想が現実的ではない理由 茂木敏充氏が指摘「野党の要求ありき」の問題点

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――この年末年始、石破茂首相は「大連立」の可能性も否定しないという趣旨の発言をしました。これについて、立憲民主党の中にも「いいんじゃないか」と言う人がいますし、自民党内では密かに条件や課題を協議する動きも出ています。茂木さんは大連立の実現可能性をどう考えますか?

大連立はドイツなどヨーロッパから始まったものですが、あらゆる連立の形を経験してきたヨーロッパでも、目下は連立が組みにくくなってきているのが現状です。インターネットの発達、社会の分断、移民問題などいろいろな背景があって、極左や極右の政党が勢力を伸ばし、なかなか連立を組みにくい状況になっているからです。

日本でも同じような大連立が可能かというと、すぐには難しい。おそらく(立憲民主党代表の)野田(佳彦)さんは政権を取ろうと考えているでしょうから、この段階で大連立を念頭に置いてはいないと思います。

例えば外交・安全保障や憲法といった、国の在り方に対する考え方が違うのに連立を組むというのは、大災害が起こったときのような、よほど危機的な状況でなければ難しいのではないかと思います。

一方で、部分連合というか、政策ごとにいろいろな政党とやり取りをして了解を取っていくやり方では、私はなかなか自民党の支持率・信頼の回復につながらないと思っています。例えば、経済や社会保障をもっと根本的に見直していかなきゃならない。日本の社会保障制度ができたのはおおむね高度経済成長期ですから、平均寿命も働き方も変わっています。

与党だけでなく、野党の皆さんも加わってもらって、10年、20年、30年後の社会保障制度をどう考えようかと、与党の側から呼びかける、問いかけることも必要だと思います。

「野党の要求ありき」ではなく

――野党に呼びかけて社会保障制度を変えていくために、連立も視野に入れた協議体を作る、ということでしょうか。

連立とまではいかなくとも、今の「103万円の壁」とか「高等教育の無償化」とか、個別テーマについて野党の要求を「ここまでのみますよ」という姿勢ではなくて、「経済」などもう少し大きなテーマで議論をして、合意形成していくことが必要かなと。

政策連合みたいなものをつくり、場合によってはそれが将来的に、大連立かはわかりませんが、安定的な連立政権につながっていく。そういう形ならありうるし、私はそうあってほしいなと思います。

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