少数与党下で政治家同士の調整は欠かせないが、政策能力を磨かなければ、官僚主導が復活するだろう。
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通常国会が始まり、石破茂政権には妙な安定感がある。発足直後は臨時国会閉会とともに退陣かともささやかれたが、現在の新年度予算審議の状況では、年度末までに予算が成立してもおかしくないくらい波乱がない。2月7日の日米首脳会談でも、石破首相はトランプ米大統領と当面の良好な関係を演出することに成功。党内での「石破おろし」も起こりようがない。こうなると、参議院選挙まで政権は続きそうにも見える。
だが、各種世論調査ではおおむね石破内閣の支持率は前回並みか微増にとどまり、逆に不支持率は高止まりしている。自民党の支持率も上がる気配はない。政治改革関連法案の細目決定には、さして積極的ではなく、旧安倍派の裏金処理の実態解明では、会計担当者の政治倫理審査会出席についても消極的姿勢を取った。参院選で勝利する条件が見当たらないのだ。
政権が安定感を見せながら、参院選では過半数ぎりぎりか過半数を割る可能性もあるというのは、奇妙な政治状況である。
国民の意向を無視した政策への忌避感
少数与党政権の安定感は裏を返せば、過半数議席を制した政権がリーダーシップと称して誤った決定を繰り返すことへの忌避感だ。
第2次安倍晋三政権は、新型コロナ対策では、全国一斉休校やアベノマスクで大きくつまずき、菅義偉政権は、GoToトラベルを強行したり、東京五輪で観客収容開催を進めようとしたりして国民の反発を招いた。さらに岸田文雄政権は、旧統一教会との関係が取り沙汰されていたにもかかわらず、安倍元首相の国葬を挙行し、国民の望まない定額減税を実施して内閣支持率の急落を呼び込んだ。
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