「子がいなくても」ノンフィクション内田さんの今 18年の結婚生活→離婚→再婚の先にあった幸せ

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一緒に食材を選び、「この柿はまずいけど、こっちはおいしいね」といったささやかな会話を楽しむ。料理もお互いにする。「何でもいいから共有して、おいしさや優しさを感じることが大事、とお互いにわかっている。2人が生きた証しは2人しか知らない。それを堪能しようよ、と話し合っています」と内田さん。

愛情表現としてのスキンシップを大切にしている

妻を「奥さんだな」と思うときもあれば、「娘だな」と感じるとき、「友だちだな」と感じるときもあり、「いろいろな感情や表情がある。人1人を追求するって面白い」と話す。

2人の似顔絵(写真:内田さん提供)

また、前の結婚で性的な接触が減ってから、前妻から「もっと触って欲しい」と言われたのに応えられなかった反省もあり、今は愛情表現としてのスキンシップを大切にしている。やがて内田さんご夫婦が年月を重ね、2人としての歩みが大切な蓄積になっていくことを願いたい。

「自分の子どもに出会いたい」「子孫を残したい」と願う感情は、否定のしようもない。今は不妊治療もあり、昔に比べれば子どもを持ちやすくもなった。しかし、それでもなお子どもは授かりものであり、願った人が必ずしも持てるとは限らないのが現実だ。

そんな中、自分とパートナーの小さな日々の蓄積の大切さを改めて発見した内田さんは、葛藤の先に見つけた1人の人間としての喜びをかみしめている。自分自身とパートナーを大切にする日々を送る内田さんは、子どもができようができまいが、土台がしっかりできた1人として、今後豊かな人生を送れるのではないだろうか。

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阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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