独立したらまず知っておきたい会計の「基本のキ」 フリーランスが知っておきたい指標とは?
郷:フローとストックって、どっちが大事とかあるんですか?
小山:両方大事です。ただし、どの視点から見るかによって「重み」が変わるんです。現場目線からいえば、「この1年でどれだけ利益を出したか」を示すP/Lのほうが大事ですよね。
郷:いかに仕事を取るか、コストを削るか、みたいな話。
小山:そうそう。一方で経営者目線からいえば、「この1年間でどれだけ筋肉質な体質になれたか」を示すB/Sのほうが大事だったりするんです。
ビジネスって基本的に永続させる前提ですから、ときに大胆な借入や設備投資が必要かもしれませんが、P/Lだけ見ていたらその発想にならない。その点、フリーランスは現場目線と経営者目線の両方を持つ必要があるので、いずれもしっかり目を通して、数字を把握しておくことが大事だと思います。
P/Lとは会社の1年間の成績表
小山:P/Lでは1年間の損益(=所得)がわかり、それがB/Sに反映される形をとるので、先にP/Lの説明をしましょう。
郷:お願いします!
小山:青色申告決算書の最初の3枚はP/Lです。このうち、とくに1枚目にP/Lの大事な情報が凝縮されています。この1枚目がまさに成績表なんです。
では、フリーランスにとって成績とはなにかというと「儲け」です。「今年は動画編集のスキルが上がりました」とか、「ヒットメーカーとコネができたので来年に期待です」みたいな数字で表せないことは、決算書には一切反映されません(※)。
※株主に向けたレポートである有価証券報告書などでは、数字で表せないことも発表できる
「儲け」とは具体的になにかというと、会計の世界では「5つの利益」があるんです。これはぜひ覚えましょう。
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郷:何度見ても覚えられないヤツ(笑)。
小山:使わないと忘れますよね。一番左は1年間に入ってきたお金の合計です。会計の世界では「売上高」や「収入」といいます。「年商」と呼ぶこともありますね。
この売上高から「売上原価」を引いたものを「売上総利益」といいます。一般的には「粗利」と呼ぶこともあります。
売上総利益 = 売上高 - 売上原価