中国国民党「ドラマが気に入らない」で予算カット? 歴史に忠実な内容でも、制作側の反中姿勢が許せない
立法委員は『聴海湧』が成功したことで、台湾と中国との関係がますます冷え込むことに激怒し、それ以降、公視をつぶすか、あるいはコントロール下に置くか、虎視眈々と狙っていたとさえ言われている。
先述の通り、公視は公平性をできるだけ担保しようとする公共放送であるから、意図的に何かの思想信条に偏ることはない。しかし史実を忠実に描き、一般の台湾人や社会に向けて丁寧に伝えようとすれば、当然ながら、日本との関係はより強まり、戒厳令下で伝えてきた中華民国的史観と中国との絆はどんどん細っていく矛盾が生じてしまうのだった。
与党「政府をマヒさせる嫌がらせ」
また、公視の予算問題は単にイデオロギーの問題にとどまらない。先にも触れたが、抑圧の歴史を持つ台湾人がいかに言論や表現の自由を確保するかに発展しているのだ。
国民党など野党側は、政府の予算を監督するのは立法委員の大切な仕事と主張。一方、与党の民主進歩党(民進党)は「政府をマヒさせる嫌がらせだ」と強く対抗している。
今回の大幅な予算削除と凍結で、とくに国防に関わる部分の削減で、アメリカのトランプ政権に「台湾が中国側に傾いている」との印象を与えかねないと警告する有識者もいるという。
台湾が日米中とどのような距離感を保とうとするのか、目が離せない状況にある。
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