中国国民党「ドラマが気に入らない」で予算カット? 歴史に忠実な内容でも、制作側の反中姿勢が許せない
台湾の人が親日であることは、歴史認識にも顕著に現れている。戒厳令下での中国主体の教育を受けつつも、日本を身近に感じられたことで中国のような極端な反日色には染まらなかったと言える。
たとえ日本にそれほど親しみを感じない人であっても、是々非々で冷静に向き合い、台湾人としての複雑な歴史を受け入れている。
中高年世代は現在の台湾主体の教育をほとんど受けていない。にもかかわらず、中国や日本、さらにはオランダやスペインなど、さまざまな国が統治してきた歴史を冷静に見ることができるのは、日本からの情報を受け入れる過程で培った感覚なのではないだろうか。
しかし、そういったテレビドラマも深くかかわって、台湾の国家予算が大幅に削減されるという事態が起きている。台湾の国会に当たる立法院で予算の大幅削減が吹き荒れ、将来的にこの親日的な雰囲気を揺るがしかねない状況にあると言われているのだった。
公共放送の予算も大きく削られ…
2025年1月21日に可決された新年度予算では、立法院での第1党で最大野党の中国国民党(国民党)が主導し、従来額から大幅な減額と凍結を行った。もともと行政院(内閣に相当)が提出した予算は3兆1325億元(約14兆7561億円)だったが、2076億元(約9779億円)が削除され、最終的に2兆9248億元(約13兆7777億円)となった。
一方、立法院での同意を得られたら執行可能な予算は1607億元(約7570億円)があり、現状では凍結、つまり保留扱いとなっている。
卓栄泰・行政院長(首相に相当)は、1月21日の予算の「二読」通過後(三読すると成立)に3回目の記者会見を開催。削減された重要な予算について言及した。その中には、政府が台湾電力に向けた1000億元(約4710億円)の補助金や、各部門の海外出張費の5億元(約23億円)、国内出張費6億元(約28億円)が含まれている。
また凍結された予算には、台湾国防の切り札と期待されている国産潜水艦の後続量産経費50%、内政部(内務省に相当)の業務費30%などが含まれ、予算の削減や凍結が業務費や広報費に過度に集中、政務の遂行や政策の推進に影響を与える恐れがあると指摘した。
広報費の予算で注目したいは、台湾の公共放送である公共電視台(公視)の予算カットだ。情報が出た当初は反対の声は業界関係者中心だったが、その削減理由が徐々に明らかになると、親日的な中高年世代も大いに憤慨する状況になった。
国民党がかたくなに公視の予算をカットしたのは、2024年に台湾人日本兵を題材としたドラマ『聴海湧』(邦題:波の音色)を制作放送して、これが成功したためだと言われている。では、それはどんなドラマだったのか。
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