中国国民党「ドラマが気に入らない」で予算カット? 歴史に忠実な内容でも、制作側の反中姿勢が許せない
全5話から成り、第2次世界大戦下で旧日本軍に従軍して南洋に渡り、捕虜監視員となった3人の台湾人の姿を描く。3人は捕虜収容所での虐殺事件に巻き込まれ、日本の敗戦とともに連合国側から戦犯として裁かれることになる。
台湾人、日本人、戦犯を裁くオーストラリア人、中華民国の外交官、さらにボルネオの先住民族まで登場し、収容所のセットだけでも破格の1000万台湾元(約4900万円)を投じて台湾に建設した。スポンサーにおもねることなく、利益も追求する必要がない公共放送だからできたとも言われている力作だ。
台湾人日本兵の隠れた史実を描写
テレビドラマが得意とする人間描写に、本格映画さながらの撮影現場。さらに作り手が徹底的にこだわって緻密な調査を経てていねいに描写している。実際に欧州最大のドラマ祭「Series Mania」でもInternational Panorama部門にアジア作品としては唯一ノミネートされ、台湾史上初の快挙を成し遂げた。台湾の内外で賞賛を浴びた史実ベースのドラマだ。
ドラマの作品として以上にこれが台湾人に衝撃を与えたのは、捕虜となった台湾人が戦犯として扱われた事実、いわば忘れられた歴史を改めて現代人に思い起こさせたことだ。
現在の多くの台湾人は、自分たちの祖先がかつて「日本人」だったことや、敗戦を味わったものの戦勝国の国民にもなった複雑な歴史を熟知している。しかし、かつての戒厳令下では、日本人として戦ったときの話は日常的に話すことがはばかれ、時代とともに詳細は人々の記憶から薄れていった。
現在の台湾人中高年やそれ以下の世代は、歴史の大枠として台湾の複雑な歴史を理解できても、まさか戦争犯罪人として扱われ、失意のうちに亡くなった人がいることにまで思いがなかなか及ばない。今回のドラマで驚いたと同時に日本との絆にも思いをはせた人がいたと言われている。
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