丸亀製麺「業績低迷→大復活」をもたらした思考法 V字回復の背景には大胆な「選択と集中」がある

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本書の文脈で注目したいのが、森岡がその「店舗空間」にこだわったこと。店舗復活の鍵として、その改革に乗り出したのだ。

例えば、店頭に小麦粉が入った袋をあえて無造作に積んでおく。これによって、まるでそこが本当の香川のうどん店かのようなワクワク感を与えることができるし、「粉から作っている」ということが空間的に把握できる。

丸亀製麺
丸亀製麺では、店頭に小麦粉が入った袋をあえて無造作に積んでいる。これによって、まるでそこが本当の香川のうどん店かのようなワクワク感を与えることができるし、「粉から作っている」ということが空間的に把握できる。(筆者撮影)

また、厨房をぐるりと囲んで並ぶ列は、創業当時からのものだが、この動線もうどんを作っている様子をじっくりと見ることができ、体験的な価値を高める。

一方で、同社の調査によれば、こうした列の存在によって、後ろの人から急かされているように感じる、といった声も聞かれたという。

その解決策として、こうした列を無くすのではなく、店頭にメニュー表を置くなどといった対策を行った。その世界観を壊さず、どうしたらそれをより顧客に楽しんでもらえるのかを考え、一つずつ対策していったのだ。

「うどんのテーマパーク」を作る空間演出

森岡が行った政策も、まさに「選択と集中」であっただろう。「打ち立てうどんを店内で食べる」という体験にフォーカスを当て、店に入った瞬間から、本場の手打ちうどんのワクワク感を追体験させる、これが丸亀製麺の戦略だった。

ニセコにたとえるなら、そこでいう「パウダースノー」は、丸亀製麺の「打ち立てうどん」である。そして、それを最大限楽しめるように、店内すべてを「うどん体験」にフォーカスを当てて整えていく。

興味深いのは、この結果として丸亀製麺が空間的な特別感をより強く持つようになったことだ。まさに「讃岐うどんのテーマパーク」のようになっている。

丸亀製麺
入店から退店まで、エンタメ感を楽しむことができるのも丸亀製麺の魅力だ(筆者撮影)
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