ぼくは子供たちを愛している。それで十分だ。
そのかわり、この子犬と、ぼくは田舎で、海を見ながら生きることになる。
三四郎がぼくと世界をつなぐ
少しずつ、田舎にも友だちが増えてきた。
そこはぼくが買った小さなアパルトマン、引っ越すこともない。
パリから二、三時間、英国海峡を見渡せる浜辺の、人口、三千人程度の街である。
でも、人は優しい。
三四郎を通して、どんどん、新しい出会いを続けている。
この子がぼくと世界をつないでくれている。それは、想像してほしい、すごいことじゃないだろうか? この子は、初めて会う人に脅威を与えないし、逆に、人々の微笑みを誘う。それは本当に、目元が緩むほどの、愛おしい存在なのである。
ぼくは物事に厳しすぎる性格だから、人間と渡り合うのが下手だ。
ぼくは変わり者なのだ。もちろん、よく、わかっている。でも、そんなぼくなのに、三四郎は、傍にいる。彼はきっと、ぼくを頼っている。この子を死ぬまで面倒をみることが、ぼくの幸せかもしれない。面倒くさいなァ、と思う朝の散歩も、ぼくがやらないとこの子が不幸になる。三四郎を抱きしめてあげると、そのぬくもりが伝わってくる。ぼくはぼくなりに生きていこうと思う。寒い冬にも虹がかかるのだから…。
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