「トランプ2.0」でドル円相場はどこまで動くのか 日米金利差の縮小で2025年前半に円高局面も?

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一方で、プラットフォーマーへのデジタルサービスの支払いは減らない。これは原油価格の話に似ており、原油は経済活動に必要不可欠だけれど、価格の決定権は供給側が持っている。ただ、デジタル赤字を経済活動のコストだと考えると、大きくなってもかまわないという話にはならない。

サービス収支の赤字は3兆円程度だが、インバウンドが頭打ちになってデジタル赤字が拡大していけば、2030年ぐらいには10兆円を超えてもおかしくないだろう。そうした想定で、サービス収支の話を円売り要因として気にしたほうがいいと思っている。

決定会合のタイミングの為替相場が重要に

――ドル円相場が動いたのは、トランプ大統領の就任式の前の週で、日銀の利上げ観測が出たタイミングでした。

2025年の日銀の金融政策について、上半期中に0.75%まで利上げがあると考えており、最大でも1%。

ただ、日銀の政策運営を読むうえでは、このような話をしてもあまり意味がないともいえる。例えば、直近の金融政策決定会合で利上げしていたとしても、1ドル170円になっていたら次の会合でどうか。おそらくマーケットは利上げを催促しているだろう。結局、決定会合が近づいたときのドル円の水準を見る必要がある。

実際2024年7月、予想外の円安でインフレの上方リスクが高まっていたため利上げした。植田ショックと言われたが、その理屈は頷けるものだった。物価は国内価値で為替は国外価値であることを踏まえると、そもそも、為替と物価を切り離して考えること自体に無理がある。

――為替の動向を見るうえで、FRBの利下げ見通しもポイントになると思いますが、どう見ていますか。

FF金利は世界の資本コストになるので、その上下動が為替の方向を規定する。私の見通しの前提は、2025年の上半期中に最大2回。ただ、2回であろうと1回であろうと、年内に「利下げの終わり」が争点化することついて、コンセンサスが集約されつつある。

マーケットは、極端な展開しか織り込みにいかないので、利下げの終わりがコンセンサスになると、その次に来るのが利上げの始まり。結果、日米金利差が開いて、円安相場が再起動してしまう。

例えば、今日のドル円相場は155〜156円だが、10円下で利上げが始まっても1ドル145円。15円下でも140円。そこからアメリカの利上げ局面が始まるのは、日本にとって”痛い話”だろう。

一方、日銀がまだ利上げするかもしれない状況で、かつアメリカの利下げの可能性が残されているという意味では、2025年の前半は金利差縮小に伴う円高を拾うチャンスではある。つまり一時的な円高の局面がくるかもしれない。

動画内ではこのほかにも、「日常生活への為替の影響」などについて聞いています。
井下 健悟 東洋経済 記者

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いのした けんご / Kengo Inoshita

食品、自動車、通信、電力、金融などの業界を担当。週刊東洋経済編集長、東洋経済オンライン編集長を経て、2025年2月より東洋経済オンライン動画編集長。

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