「トランプ2.0」でドル円相場はどこまで動くのか 日米金利差の縮小で2025年前半に円高局面も?

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――2025年のエネルギー価格の動向については、どのような見通しでしょうか。

2024年の末に2025年の見通しを作成したが、原油価格は前年比で低下し、1バレル70ドルぐらいになると想定している。その場合、原油だけで輸入が約2兆円前後減り、円安圧力の緩和になるといえる。

ただ、年明けには1バレル80ドルを超えており、現時点でも70ドルに収まっていないため、想定が正しいのかどうかという点はある。基本的にトランプ大統領は、鉱物性燃料の価格を下げる政策を宣言しており、原油価格は前年より低めに想定せざるをえない。中国の景気も振るわず、需要も盛り上がらないとなると、原油価格が1バレル80ドルからさらに上昇するというよりは、70ドルで見ておいたほうがいいだろう。

インバウンドはポジティブだが・・・

――以前から、サービス収支が為替に及ぼす影響についても注視されています。

これからの日本の為替を語るうえで、当然、貿易収支は大事だが、サービス収支も見るべきだと言い続けている。サービス収支には、「輸送収支」「旅行収支」「その他サービス収支」の3つにわけられる。ポジティブな材料は旅行収支で、いわゆるインバウンドだ。現時点では2024年の通年の実績は出ていないが、11月分までで5兆円を超えていて、すでに過去最大の黒字となっている。

旅行収支で5兆円の黒字を出せば、昔であればサービス収支全体も黒字になっていたはずだが、3兆円台の赤字。その理由は、デジタル赤字を含むその他サービス収支が大赤字だから。デジタル赤字だけでおそらく7兆円ぐらいの赤字。年平均13%ぐらいずつ拡大しているので、このままだと2025年には8兆円になる。

デジタル赤字が拡大したとしても、インバウンドが今の調子で増え、結果的にサービス収支が3兆円ぐらいで”横ばい”ならいい。だが、旅行収支の黒字は、どこかでピークアウトするのではないか。観光産業を支える宿泊・飲食業は、日本で人手不足が最も深刻な業界だ。いくらインバウンド需要が旺盛でも供給が厳しいという状況が、来年、再来年に来てもおかしくない。

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