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銀座に爆誕「余白だらけのビル」一体何が凄いのか 近年の再開発のあり方にデカい一石を投じている

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  • 谷頭 和希 都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家
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しかしそうなれば、いくらアーティストの展示を行っていたとしても、本当にそこへ行きたいと思うファン以外は行かなくなる。アーティスト側にとってみればファン層は「狭く深く」、つまり「先細り」してしまう。

それに、ソニーパーク自体に訪れる人の広がりもなくなってしまい、長期的に見るとソニーパーク自体への愛着も湧いてこないかもしれない。

回りくどくても、無料で開放するほうが合理的なのだ、という考えがここにはある。

ソニー企業社長の永野大輔氏は「10年先のソニーファン作りを目指す。Ginza Sony Parkでの体験を、My First Sonyの体験にしてもらいたい」と述べている。長期的なビジョンの中でソニーパークは作られているのだ。

【2025年2月7日11時35分追記】初出時、社名の記載に誤りがありましたので、記述の一部を修正しました。

ソニーパークに見られる<迂回する経済>の都市のつくりかた

都市計画学者の吉江俊は『<迂回する経済>の都市論』の中で、高層ビルを建てすぐにコストを回収する、という「目的に向かって最短で利益を上げていこう」とする都市開発の方法を「<直線する経済>の都市」と呼んでいる。

これは、短期的な視点に立てばすぐに利益を上げられるかもしれないが、長期的な視点に立ったとき、本当に社会的な利益になるのか、ひいては企業の継続的な利益につながるのかが難しい。

そこで吉江が提唱するのが、開発に手間がかかったり、すぐには利益が出なくとも長期的な視点で利益があるように開発を調整していく<迂回する経済>による都市作りの重要性だ。

例えば、商業施設をテナントで敷き詰めるだけでなく、あえて広場を作って人が滞留できるようにしてみる。短期的にはテナントがたくさんあったほうが利益が出るかもしれないが、長期的に見ればそこに人が集い、愛着が生まれるほうが、エリア全体の価値が上がるのではないか。

例えば、大阪駅前に昨年誕生したうめきたパークは駅前に広々とした広場が誕生したわけだが、まさにこうした開発の良い例かもしれない。

うめきた公園の様子。広々とした広場には、人が集う(筆者撮影)

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