金正日の死に涙する北朝鮮国民の心の内--イアン・ブルマ 米バード大学教授/ジャーナリスト

深い悲しみを示すことを拒むと、北朝鮮人は、子供が退学させられ、昇進の道が閉ざされ、強制労働収容所に送られる可能性さえある。全体主義国家でプロパガンダを信じることは、自己防衛の一つの形かもしれない。まったく正気でないことを知性を持つ人間が無理やり信じ込むことができるかどうかは興味深い問題だ。

ただし、強制は、平壌発で放映された愁嘆場における一つの要因ではあるが、唯一の説明ではあるまい。集団ヒステリーは多くの形を取ることがある。こうした屈辱的な振る舞いはつねに見せかけのものであり、演技の一種である、と想定するのは安易すぎる。

ダイアナ妃の死に号泣したのはなぜか

これほど不吉ではない大衆ヒステリーの噴出を考えてみよう。ダイアナ妃の死後に英国では多くの人々が尋常でない感情を表現した。雑誌の特集やテレビ報道でしか彼女を知らない人々が、ダイアナの死から自分自身の親の死よりも深い影響を受けたと主張したのだ。彼らはおそらくうそをついてはいなかった。奇妙に聞こえるかもしれないが、その感情に偽りはなかったようだ。

私たちはしばしば、家族の死によって引き起こされるような真の痛みを抑圧する。しかし、感情にはどうしてもはけ口が必要だ。そのため有名人が死んだときに、個人的な死別で鬱積した感情が噴出してくる。表面上はダイアナ妃のために泣いている人々は、実際には自分の愛する人々を哀悼しているのだ。この種の哀悼は感傷主義の一形態であるが、心がこもっていることもある。

死んだ人物が、愛すべき妃であるか、人気歌手であるか、残酷な独裁者であるかは関係がない。私たちは彼らとともに成長したのであり、彼らは私たちの一部なのだ。だから彼らが死ぬと、私たちのうちの小さな一部も彼らとともに死ぬのだ。

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