障害者への向き合い方を学ぶ「検定」今注目の理由 浦和レッズスタッフも受検「必要性を感じた」

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2013年から始まった同検定は、10年間で受講者が約23万人(2024年12月時点) になった。

スタート初回の受講者は5人だったが、垣内さんを含めた社員4人が大阪から深夜バスで上京し、企業に研修を普及させるための飛び込み営業を続けた。

7年経った頃、ようやく認知度が高まり、大手企業からも継続的に研修依頼がくるようになった。現在は主に金融機関や、結婚式場などの冠婚葬祭業者、ホテル・旅館などの宿泊施設 、大学やエンターテインメント業界から声がかかる。

きっかけは盲導犬を連れた人の観戦

サッカーJ1リーグの浦和レッズ(浦和レッドダイヤモンズ株式会社、さいたま市) も、社内研修にユニバーサル検定を導入している。

同社のクラブ理念に掲げる「安全・快適で、熱気ある満員のスタジアム」において、誰もが楽しめるスタジアム「レッズワンダーランド」を実現するためには不可欠な知識として、雇用形態にかかわらずスタッフ全員を研修の対象としている。

きっかけは、2021年、埼玉スタジアムの試合に盲導犬を連れた人が試合観戦に訪れたことだった。

身体に障害のある人をサポートする身体障害者補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)は、法律に基づいて訓練施設で育成され訓練を受けたあと、指定された法人で認定されている。特に不特定多数が利用する施設では、ユーザーが補助犬を連れている場合、受け入れる義務がある。

しかし、運営側にとっては初めてのできごとだったこともあり、「周囲の方にも配慮して、別の席にご案内すべきではないか」「盲導犬をお預かりしたほうがいいのではないか」「犬のトイレはどうしたらいいか」など、短時間でさまざまな判断を迫られた。

試合終了後、クラブスタッフは「我々ができることは何だったんだろう」「適切な対応を学びたい」と、公益財団法人日本盲導犬協会(東京・渋谷区)によるセミナーを受講した。

同社コーポレート本部総務担当の柳紫乃課長は、「受講してわかったことは、『正しい知識を身につけていない場合、差別にもつながりかねない対応を無自覚にしてしまう可能性がある』ということでした」と振り返る。

その後、同社はマニュアルを作成した。スタジアムでも、補助犬を連れた人は購入したチケットの席に座る権利があるため、来場時は通常通りに案内する。犬は座席の下に座ってもらう。近くの座席に犬アレルギーの人がいる場合は、スタッフが仲介して、別の場所が調整できるようであれば、対応する。

さらに、そのときの対応が適切か、定期的に補助犬ユーザーを試合観戦に招待して、フィードバックをもらっている。その都度、マニュアルも更新するという。

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