共通テスト「ニュースがわかれば一発」の中身 冤罪事件や、インバウンドなど…様々な話題

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実際の問題を見てみましょう。

問4

生徒Cと生徒Aは、日本における犯罪と刑罰の関係について、次の会話をした。会話文中の空欄「ア」・[イ]に入る後の記述のa~cの組み合わせとして、最も適当なものを、後の①~⑥のうちから一つ選べ。

(前略)
C:裁判所で刑事裁判をいくつか傍聴してきたけど、被告人が有罪なのか、無罪なのかを決めるのは、本当に難しいことだと感じたな。

A:そうだね。人が人を裁くときは、公正な裁判に努めなければならない。それでも冤罪が生まれることはある。そういう場合に備えて[ア]があるということを学んだね。
(中略)

選択肢
a:判決の判断材料となった事実認定に合理的な疑いがもたれるような証拠が見つかったときに裁判をやり直す仕組み
b:犯罪被害者やその家族の被った損害を回復するために、国が給付金を支給する仕組み
c:罪を犯した20歳未満の少年について、保護や教育を通じた矯正を目指す仕組み

公共の教科書でこのことについて触れている記述はもちろんありますが、数行程度で大きなテーマにはなってはいません。それでも、この問題は解ける人は簡単に解けてしまいます。

2024年に起きたとある重大な出来事を知っている人であればわかるはずです。答えは「a」ですね。

出題の背景を考える

この問題が出題された背景になっているのは「袴田事件」だと考えられます。

袴田事件は、日本の司法における史上最悪の冤罪事件であると言われています。

1966年、静岡県で一家4人の強盗殺人・放火事件が発生し、当時30歳の袴田巌さんが犯人として逮捕されました。

袴田さんは無罪を訴えましたが、1980年に死刑判決が確定しました。しかし、袴田さんはその後も無罪を訴え続け、2014年にようやく再審開始が決定。2024年9月26日、静岡地裁は袴田さんの再審公判において、無罪判決を言い渡しました。逮捕から58年もの月日が経っていました。

袴田事件を通じて、警察の捜査体制や検察の姿勢、裁判所の判断、時間がかかりすぎる再審制度の在り方など、多くの問題が浮き彫りになりました。

日本社会全体がこの事件を反省し、教訓として、今後の司法の在り方について考えていかなければなりません。

今年度の共通テストで再審に関する問題が出題された背景には、これからの時代を担う受験生にはこの事件のことを知っていてほしいという、出題者の願いが込められているのかもしれません。

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