郵政改革を「骨抜き」にする民営化法の見直し議論 背景に郵便の業績悪化、改正案は成立の公算

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一方、金融2社の在り方を巡っては、改正案の骨子の中で郵活連側が譲歩した部分もある。金融2社に課せられる「上乗せ規制」に関する議論だ。

「上乗せ規制」とは民業圧迫の防止を目的に、金融2社に課されている制約で、ゆうちょ銀行の預入限度額や、かんぽ生命の加入限度額などがそれにあたる。郵活連は、これら上乗せ規制の緩和を模索してきた。

これに対し金融業界は「上乗せ規制の緩和や撤廃は、基本理念とまったく逆行する」(みずほ銀行・加藤勝彦頭取)と真っ向から反対。こうした反発を受けて、上乗せ規制の在り方をめぐっては、政府にゲタを預ける「検討条項」にとどめる方針だ。

日本郵政傘下3社の経常利益推移

法案成立は確実か

通常国会に提出される改正案は成立が確実視されている。郵活連の動きを牽制してきた自民党の片山さつき参議院議員(金融調査会会長)は、東洋経済の取材に対し「(法改正の動きについて)特別にコメントはない。金融調査会がどう思うか次第」だと話し、現状は明確な姿勢を見せていない。

自民党の柘植議員も「党内に反対勢力はほとんどいない」と話す。郵政改革を進めた小泉純一郎元首相を父に持つ自民党の小泉進次郎衆議院議員ですら、昨年の自民党総裁選で、郵政改革に反対する全国郵便局長会(全特)に協力を要請した経緯がある。ある政府関係者は「郵政改革の当初の頃とは時代が大きく変わってしまった」と漏らす。

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