郵政改革を「骨抜き」にする民営化法の見直し議論 背景に郵便の業績悪化、改正案は成立の公算

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最大野党の立憲民主党もJP労組の支持を受けている。そのため改正案には反対しない見通しで、自民党が昨年の衆院選で少数与党となったことによる影響はほぼないとみられる。

法案が成立したら、次に注目されるのは全特が「最優先事項」としている日本郵政と日本郵便の合併に関する議論だ。ただし、「日本郵便が金融2社の親会社になりたがっているだけのこと」と話す政府関係者もおり、合併の意義については疑問の声も多い。改正案では、法改正から2年後を目処に合併について検討する「検討条項」が規定される運びだ。

これを「判断の先送り」とする報道もある。だが柘植議員は「2年間で(日本郵便が)解決するべき課題を具体的に定義し、それを達成できなければ体制を変えるという意味」だとし、むしろ合併への道筋を具体化する動きともとれる。

デジタル時代の郵便事業の在り方

この点について、どのような課題が示されるかは不明だが、日本郵便の収支改善が大きなポイントとなる可能性が高い。その場合、会社側には大きな政治圧力がかかることになる。日本郵便の囲氏は、郵便事業の低迷を補うために「郵便から荷物にシフトし、荷物を増やすことで増収につなげる。それに合わせて郵便にかかるコストを抜本的に見直していく」と話す。ただ、その具体的道筋は示されていない。

郵政民営化法改正を巡る議論では、単なる制度の見直しにとどまらず、日本郵政グループ全体の在り方、さらには郵便事業が社会インフラとして果たす役割そのものを問い直す必要があるだろう。郵便事業がデジタル時代にどう適応していくのか、その答えが求められている。

髙岡 健太 東洋経済 記者

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たかおか けんた / Kenta Takaoka

宮崎県出身。九州大学経済学部卒。在学中にドイツ・ホーエンハイム大学に留学。エンタメ業界担当を経て、現在はM&Aや金融業界担当。MMTなどマクロ経済に関心。

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