「中居氏騒動」フジ社員に伝えたい"企業防衛"論理 「もし会社が消滅するかもしれない」事案起きたら

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さて、自分が所属する組織にもしそういった問題がある場合は、社員は自分を守るためにどのような行動をとれるのでしょうか? 唯一思いつくのが「内部告発」だと思いますので、解説します。コンプライアンスが強化された結果、多くの組織で公益通報制度が整いつつあります。

ここであまり知られていない問題があります。それは公益通報制度は基本的に小さな悪についてしか機能しない制度だということです。上司からのセクハラやパワハラはこの制度が比較的きちんと機能して、通報すると人事部や法務部が動いてくれて、ちゃんとした会社の場合、上司に何らかの処分が下り、再発が禁止されます。

「会社が消滅するかもしれない」内部通報は機能するか

一方で読者の皆さんにも想像していただきたいのですが、仮に皆さんが「それが明るみに出たら会社が消滅するかもしれない」レベルの内部通報をしたら会社の対応は果たして同じになるでしょうか? 企業が内部告発よりも組織全体を守ることを優先した事例を私はいくつも知っていますが、結論を言うと同じにはなりません。告発者が何らかの形で”消されて”しまいます。

では告発者は手詰まりかというとそうでもありません。内部告発にはもうひとつ手段があります。メディアへの告発です。それも新聞のような伝統的メディア以外が選ばれます。この問題は公益性があると考えてくれたジャーナリストが記事にしてくれる可能性が高いからです。ジャニー喜多川問題を取り上げてくれたのはイギリスのBBCでした。

これで企業不祥事入門の解説が一巡したことにお気づきでしょうか。

小さな事件であれば、2023年に起きた事件はすでに報道し尽くされています。それが今になって週刊文春を通じて浮上した。フジテレビ社長の会見はなぜか歯切れが悪い。教科書に書かれているとおりの事態が起きているように見えるのが今回の事案の特徴です。以上で企業不祥事についての基礎の解説を終わらせていただきます。

鈴木 貴博 経済評論家、百年コンサルティング代表

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すずき たかひろ / Takahiro Suzuki

東京大学工学部物理工学科卒。ボストンコンサルティンググループ、ネットイヤーグループ(東証マザーズ上場)を経て2003年に独立。人材企業やIT企業の戦略コンサルティングの傍ら、経済評論家として活躍。人工知能が経済に与える影響についての論客としても知られる。著書に日本経済予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』(PHP)、『仕事消滅 AIの時代を生き抜くために、いま私たちにできること』(講談社)、『戦略思考トレーニングシリーズ』(日経文庫)などがある。BS朝日『モノシリスト』準レギュラーなどテレビ出演も多い。オスカープロモーション所属。

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