真冬に本領発揮する、「津軽鉄道」の名物車両たち ストーブ列車にラッセル車…、厳寒期の風物詩

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ホーム反対側の留置線には、キハ22027と、2軸無蓋車トム1〜3の3両および2軸タンク車タム501。キハ22形は先代の主力気動車で、国鉄から秋田内陸縦貫鉄道を経て1989年に津軽に来ている。予備で1両が残されたが、現状は朽ちて廃車。一方、トムはバラストや資材運搬用の現役である。1927年津軽での新造と言うから建設時の車両だ。2両はスポーク車輪のまま残り、軸箱を開けると車軸に刻印されたMade in Germanyの文字が見られるそうだ。

タム501は元国鉄タム2800形。貨車ファンが見たら歓喜する稀少な1両だ。黒塗装も美しく、現役感を放つ。同車が津軽鉄道にある理由が、とても興味深い。

車庫がある五所川原駅裏手は現在でこそ住宅地だが、かつては田圃でタンクローリーが入れる道がなかった。燃料は、五能線が国鉄時代は国鉄のタンク車で運び込んでいたが、貨物扱い廃止によって手段を失うことになった。そのためタム1両を購入。津軽鉄道の途中駅まで道路輸送で運んできて、そこでタムに移し替えて運んだのだ。

今は車庫まで道路が通じてローリーも入れるが、そこで廃車とならなかったのは、東日本大震災が理由と言う。あの時、燃料の確保は生命線となった。そのため以後の備蓄タンクとして活用されることになり、車籍を残すことになった。青森県の備蓄施設に登載されているそうだ。

あとは、これから乗車する現役営業車両のストーブ客車2両と、一般列車用の気動車、津軽21形である。津軽21形は1996年11月に2両、2000年2月に3両が新潟鐵工所(現新潟トランシス)で新製された。太宰治の作品にちなみ「走れメロス号」の愛称が付いており、現場でも「メロス、メロス」と呼ばれている。

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1時間前にストーブ点火、発車までにポカポカに

「車掌が来ました。ストーブに点火しますよ」と促されて留置されていた客車に入ったのは11時。発車のちょうど1時間前である。客車はオハ462とオハフ331の2両。内装や座席フレームがニス塗りで年季の入った飴色に包まれているのはオハフ33で、オハ46は淡いベージュの化粧板張りに座席フレームも灰色に塗装されている。

車内には1両の前後2か所に鋳鉄製のダルマストーブが配置され、傍らに石炭バケツ。まずは灯油に浸してあった小枝に着火し、それが燃え上ってきたら、石炭をくべる。

しかし、油に浸潤させていたものの小枝は生木だったか火持ちが芳しくなく、石炭に燃え移らず消えてしまったりして、やや難儀する。1カ所あたり5分弱で2両計4カ所では約20分かかった。車掌は「これから追い上げて、発車までに暖かくします」と、点火した後も消えていないか車内を往復して確認し、石炭の量を増やしてゆくのだった。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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