8000型は、東武で初めて長さ20m・両開き4扉のスタイルとなった車両だ。車体は当時一般的だった鋼製。走行性能の面では、同時期に他社の車両で増えつつあった電気ブレーキは装備せず、空気圧でシリンダーを動かし車輪を止める空気ブレーキだけを搭載した。その一方で、台車は通勤電車にはまだ珍しかった、乗り心地のいい「空気ばね」をいち早く採用した。
約20年の長きにわたって導入が続いたが、すべて同じ形態・編成で造り続けたわけではなく、増え続けた利用者や生活水準の向上に合わせて改良を加え、少しずつ細部が変わっている。泉川さんは、その細かな違いについて「まとめれば1冊の本ができるほど」と言う。
改良を重ねて712両製造
1963年度にまずデビューしたのは4両編成で、その後1964年度から増結用の2両編成が登場。1971年度には4両編成を6両に伸ばすための増結用中間車両の製造が始まり、翌1972年度には最初から6両固定で造られた編成が登場した。さらに、東上線には1977年度から8両編成が投入された。
カラーリングは当初「ロイヤルベージュ」と「インターナショナルオレンジ」の塗り分けだったが、1974年からセイジクリーム1色に変更。40代以上の人なら、肌色のようなクリーム色の電車を懐かしいと思う人も多いだろう。現在の「ジャスミンホワイト」と呼ぶ白をベースに「ロイヤルブルー」と「リフレッシュブルー」(水色)のラインを配した塗装は1985年以降に導入された。
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