健康志向に応えるチョコ風味菓子の「意外な」原料 「失敗」から誕生、高騰するカカオの代わりに
このチョコレート風味を有する食品素材を、同社は「MelBurd」(メルバード)と命名。MelBurdは、Melting(とろける)、Mellow(芳醇な)、Burdock(ゴボウ)を組み合わせた造語だ。そのメルバードを商品化したものが「ゴボーチェ」だ。
同社は15年以上にわたり、ゴボウの機能性研究や技術開発を進め、便通改善効果がある「焙煎ごぼう茶」を市場に投入してきた。
開発本部の龍地泰明氏は、「ゴボウは縄文時代の貝塚から種が出土し、平安時代の文献にも記載がある歴史深い野菜であり、きんぴらゴボウや煮物など、日本の食卓で昔から親しまれてきた」と語る。
しかし、その独特の風味や食感に加え、土が付着しているため調理の手間が敬遠され、近年消費量が減少している。
そうした中、ゴボーチェは「日本の伝統的な野菜であるゴボウの新たな可能性を切り拓く取り組みの一環として誕生した」と龍地氏は話す。
「チョコレート価格上昇の影響を、ゴボウを使ったチョコレート風味菓子の普及を通じて抑え、両方を共存させながら価格を安定させることができれば、社会的に意義がある」(龍地氏)
さらにゴボウへの注目が高まれば、日本の農業の活性化に寄与する。チョコレートは世界中で親しまれているため、国内で「ゴボーチェ」の認知度を高めた後は、海外販売も視野に入れていくという。
単なる代替品にとどまらない魅力
食品の代替品といえば、環境負荷が高い肉を大豆に置き換えた「大豆ミート」が思い浮かぶが、日本では日常食としてまだ広く浸透していない。
一方、あじかんは「ゴボーチェ」を、単なるチョコレートの代替品として考えていない。
その理由として龍地氏は「代替品という位置づけは、もともとの課題が解消された際に不要となる可能性があるため、製品寿命が短く終わるリスクも含む」ことを挙げる。
加工条件を工夫することでゴボウの多様な食べ方を提案し、「消費者の食の選択肢を増やすことが重要だ」と指摘。単なる代替品でなく、例えば「カニカマ」のように独自の価値を持つ製品として消費者に受け入れられる存在を目指しているという。
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