健康志向に応えるチョコ風味菓子の「意外な」原料 「失敗」から誕生、高騰するカカオの代わりに

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ゴボウの国内⾃給率は7割弱と高い。このため、「ゴボーチェ」は需要に応じて、量産は可能だという。

とはいえ、懸念材料もある。近年の夏の猛暑や気候変動は、ゴボウの収穫にも影響を与えているからだ。首都圏のスーパーに並んでいるゴボウも何となく細くなっている。

龍地氏は「(主要生産地の)青森県でも近年の猛暑で、ゴボウが育てづらくなっており高温障害が起きている」と懸念を示す。夜間に気温が下がらないとゴボウが太くならず成長しないため、その栽培適地が山間部に近い場所などに移動してきている傾向があるという。

カカオ豆の高騰と主要産地の窮状

一方、カカオ豆の国際価格は2年前から約4倍に跳ね上がっている。昨年12月には一時1トン当たり1万2000ドル近くの史上最高値(終値ベース)をつけた。専門家の間では今後価格が大幅に下落するとの見方は少ない。

カカオ豆先物価格の推移
アメリカ・インターコンチネンタル取引所による「カカオ豆先物価格」の推移。単位:ドル、2025年1月9日時点終値(出所:CNBC) 

カカオはもともと中南米が原産だが、西アフリカのコートジボワールやガーナなどが世界全体の生産量の約7割を占める。日本は主にガーナから輸入している。

西アフリカでは、貧困や疫病といった従来の問題に加え、昨年は気候変動に伴う干ばつや洪水にも直面した。またカカオ農家の児童労働や森林伐採なども問題視されている。

日本ではまもなくバレンタインデーを迎える。2月は年間チョコレート支出額の2〜3割を占めると言われている。外国産の高級チョコレートへの需要も高まる。

しかし今年はチョコレートの価格上昇が、恋人や配偶者への「本命チョコ」、会社関係者への「義理チョコ」、友達同士で贈り合う「友チョコ」などにも影響を及ぼしそうだ。

この機会に伝統的な国産素材を活用したサステナブルなスイーツとして「ゴボーチェ」を選択肢に加えてみてはどうだろうか。

伊藤 辰雄 ジャーナリスト

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いとう たつお / Tatsuo Ito

大学卒業後、ロイター通信社、ウォール・ストリート・ジャーナルなどで記者として、経済・金融政策、金融市場を中心に30年以上に渡り取材。現在は、フリーランス・ライターとして環境分野を中心に取材執筆するほか、会社四季報で食品関係の企業を担当。2024年3月上智大学大学院・地球環境学研究科修了(環境学修士)

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