なぜ中国は南シナ海に滑走路を造るのか

対潜水艦防衛力を強化

南シナ海は潜水艦が活動する環境としては比較的浅いが、インド洋と太平洋に通じる深い水路もいくつか存在する。

米国防総省の報道官は、滑走路建設が中国の対潜水艦防衛力を向上させることを米国は懸念しているかとの質問に、米国は南シナ海で起きることを監視していると答えた。

カーター国防長官は16日に米空軍の会議で「国際法の許す限り、空からも海からも活動する」とし、「岩礁を埋め立てて滑走路を建設したからといって、支配権が得られるわけではない」と語った。

中国本土に拠点を置く軍事アナリストは、中国はY9情報収集機やKa28対潜ヘリコプターに装備するソナーなどの探知機を改良しようとしているほか、探知装置を人工島周辺の海底に設置するつもりだと指摘した。

核の抑止

嶺南大学の張氏は以前に、核兵器の「先制不使用」という立場から、中国の核抑止政策にとって弾道ミサイル潜水艦が何よりも重要だと指摘していた。

つまりこれは、もし中国が有事に「先制不使用」を貫いた場合、同国の地上兵器は先制攻撃を受けやすいことを意味している。

中国のメディアや海外の軍事ブログは今年、晋型原子力潜水艦が海南島を出航し活動する写真を掲載している。ただ、同潜水艦が核弾頭を装備した弾道ミサイルを搭載しているかは不明だ。

前述の米国防総省による報告書は「中国は2015年中に(潜水艦による)初の核抑止パトロールを行うだろう」としている。

こうした核抑止に向けた動きは南シナ海での防空識別圏の設定につながる可能性があると、安全保障の専門家たちは指摘する。

すでに海中では、冷戦時代のような潜水艦の追跡ゲームが始まっていると、西側とアジアの海軍当局者は話す。米国はかつて旧ソ連の潜水艦に忍び寄ったように、中国の潜水艦も追尾しようとしているという。

日本のディーゼル潜水艦が活動を活発化させる一方、ベトナムが配備を進めるロシア製キロ型潜水艦も、中国にとって頭痛の種となるだろう。

中国が海中での活動を拡大させていることについて、「われわれは注視しているし、彼らもわれわれを見張っている」と、アジアに拠点を置いていた元海軍当局者は語った。

(Greg Torode記者、翻訳:伊藤典子、編集:下郡美紀)

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