「プラス3.1%成長」北朝鮮経済が改善しているわけ 穀物生産量も上がり国民生活もじわり改善?
また貿易総額の98.3%が中国が相手国であり、対外経済の中国依存がきわまっている状態であることがわかる。
農業分野では、穀物生産量は482万トンで前年比6.9%増。うち、コメの生産量は211万トンで同1.7%増となっている。
今回の統計発表は北朝鮮の実態を示す代表的な分析の1つだが、北朝鮮が公式統計を発表していない状況であり、あくまでも推計値にすぎない点は注意すべきだ。ただ、コロナ禍もほぼ沈静化し、経済状況も徐々に落ち着きを取り戻しているのが2023年の北朝鮮経済だとみてもよいだろう。
一方で、北朝鮮現地を訪れた人たちが体験した北朝鮮経済はどうか。実は、この点で非常に興味深い話が聞こえてくる。季刊『朝鮮経済資料』2024年第4号には、2024年秋に「祖国訪問」として北朝鮮に行ってきた朝鮮大学校の教員などによる北朝鮮国内の様子が描かれている。
2024年秋の平壌の状況
北朝鮮は2024年秋に朝鮮総聯(在日本朝鮮人総聯合会)の祖国訪問団の訪朝を皮切りに、朝鮮大学校の学生120人からなる祖国訪問、平壌で年始に行われた公演会に参加する子どもたちの訪問を受け入れた。
在日コリアンらもコロナ禍で3~4年ほど訪問できず、ようやく実現した祖国訪問中に見聞きした平壌市内などの経済状況を、コロナ禍前の訪朝と比較しながら明らかにしている。
訪問者らの話を総合すると、現在の平壌の様子はまさに「天地開闢(かいびゃく)」と漏らすほど街の風景が一新していると口をそろえる。北朝鮮の金正恩総書記はこれまで、平壌や地方都市の住宅建設・リニューアル工事を進めており、いくつかのいわゆるニュータウンも生まれたが、これまで目にすることがなかった光景が広がっているという。
市内を走る車両もコロナ禍前とは違って大きく増え、かつ運転席にカーナビゲーションシステムを装着している車が増えていると証言する。
また、電力事情がとても改善しており、「これまでの明るさとはまったく違う」ほどの明るさであり、かつ停電もほとんどなかったという。一方で、市民たちの電気代も上昇しているとのことだ。
さらに2023年の穀物生産量は、「600万トンという生産目標を103%達成した」と現地の経済専門家から聞いたという。これまで北朝鮮では穀物生産量が600万トンであれば、自給自足ができる水準の生産量とされてきた。103%生産したのであれば618万トンということになる。
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