「プラス3.1%成長」北朝鮮経済が改善しているわけ 穀物生産量も上がり国民生活もじわり改善?
生産量が増えるにしたがって配給がかなり正常化しており、これまで主食の1つだったトウモロコシよりは麦・小麦が代替しつつあり、食生活の量と質にも大きな変化があったという。
市民の中には「100ドル程度は数日で消費してしまう人がいる」と聞き、北朝鮮社会の中でも中間層が増えているのではと考えられる、という声もあった。
中間層が形成・拡大しつつある
公務員の給料が引き上げられる一方で、人気のアイスクリームが1つ1ドル、ビール大ジョッキが2~3ドルと、これまでの価格水準からかなり高いものが消費されており、それなりの収入を得る市民が徐々に増えているとも考えられる。
東洋経済の取材に応じた別の訪朝者も、「スマートフォンで生活のほぼすべてのことが処理できるようになっていて本当に驚いた」という。レストランや映画館などの予約から座席指定までスマホで注文でき、生活のかなりの部分がデジタル化されているという。
そのスマホも、コロナ前は150〜300ドル程度の価格帯のスマホ所有者が多かったが、今では500〜600ドルという高価格帯のスマホを手にしている市民を多く見たとの声もある。
また前述した食糧関係についても正常な配給が行われつつあり、「チャンマダン」と呼ばれたかつての闇市場が縮小していると明らかにした。
米や食用油などの基本的な食材・日用品は配給券や現金どちらでも交換可能であり、野菜や肉・魚などさらに必要なものがあればチャンマダンで公定価格より少し高い価格で購入可能とのことだ。
日本からは核・ミサイル開発に血眼になっている姿ばかり目につくが、一方で金総書記は国民の生活改善にこの10年ほど力を入れてきた。前述の住宅建設もその一環だ。
住宅の老朽化は故・金正日総書記時代からの懸案でもあり、現在の金総書記になってようやく改善・新築に着手できるようになったということだろう。
同時に、工場や農場などの経済単位での「経済管理の改善」も進めており、「社会主義経済」を掲げる中で、これまでの経済・経営方法の改善を随時行い効率化・生産増大を図っているという。一方で、経済の現場に近い各省の権限や役割が拡大しているようだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら