「苦情で閉店→大行列店」47歳・つけ麺店主の格闘 つけ麺日本一「YOKOKURA STOREHOUSE」の流儀

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ラーメンだけでなく、店内にコーヒースタンドも作るなど新しい世界観を模索した。

オープン直後にコロナが襲来

しかし、オープンしてすぐコロナ禍に突入した。ご飯ものを出したり、テイクアウトをやったりといろいろと試行錯誤したがすぐにキャッシュが溶けてしまった。その後、お客さんに求められているものを磨いていかないといけないということで、メニューを絞って営業を続けた。

YOKOKURA STOREHOUSE
日本を代表する屈指の行列店を作った店主の篠塚浩一さん(真ん中)が目指したのは、「働きたくなる店」だった。弟の大介さん(左)と鈴木貴也さん(右)という、最高のメンバーで店は運営されている(筆者撮影)
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すると、2020年の途中から徐々にお客さんが戻ってくるようになった。神様が「生きろ」と言ってくれているんだと篠塚さんは気持ちを取り戻した。この頃、新たな仲間として鈴木貴也さんが加わり、店の雰囲気が一気に良くなってきた。

「飲食店をやっていてノーゲス(お客さんが一人もいない状態)のときがあると思います。ノーゲスは世界に80億人の人がいて誰一人に必要とされていないということ。これは正気の沙汰ではありません。

こう考えてみると、来てくれるお客さん一人ひとりに感謝するようになります。

うちは幸いにもお客さんが毎日来てくださるお店ですが、行列のときも行列をさばくマインドではなく、最後の一人のお客さんにまで来てくれてありがとうという気持ちになるんです」(篠塚さん)

YOKOKURA STOREHOUSE
(筆者撮影)

「YOKOKURA STOREHOUSE」はオープン前から20人ほど行列し、営業時間内に行列が途絶えることはない。週末は駐車場待ちも出るほどの大盛況だが、行列に並んだ最後の一人が食べ終わるまでしっかりと営業する。

売り切れ終了はできるだけないように努力し、営業時間は営業のために使い、その時間内に片付け始めることはないように心がけている。

「私は人との出会いに恵まれました。そこに自ずとお客さんの数もついてきたと思っています。“人”は食材以上に大きな価値です。この店を作ってから人が好きになりました。

チームが夢中になれるものならラーメンじゃなくても何でもいいと思っています。お客さんたちが『こいつら頑張ってるな』『いいチームだな』と思ってくれる店が理想です」(篠塚さん)

YOKOKURA STOREHOUSE
調理中の篠塚さん。惚れ惚れとする、逞しくもしなやかな所作だ(筆者撮影)

従業員の鈴木さんも「お金や名誉よりも、この店で働く楽しさや働き甲斐が大事だと感じるようになった」と話す。

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