人間が「工夫すればするほど増える」アレルギー 残念ながら現代社会では避けられない疾患

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最後に私たちの取り組みの1つを紹介します。私たちは「小さい子供が食べたいものを自由に食べられる」環境を理想に掲げ、食べてアレルギー症状を抑えられる方法の開発を進めています。

候補物質が見つかっています。これは人の体にもある脂質の代謝物です。エイコサペンタ塩酸(EPA)の代謝物で5,6-DiHETEと呼ばれる脂の成分に、アレルギー反応を抑える働きがあることがわかりました。ちなみにこの脂質の成分は、皆さんの体にすでにあるものですし、自然に分解されていきます。

青魚の内臓に多く含まれることもわかっており、現在これをサプリメントとして提供できるように、開発を進めているところです。実験レベルでは著効を示しますし、現在犬のアレルギーの管理や治療への応用を開始しています。

尿検査でアレルギー反応の状態を把握し、サプリメントでその反応を管理する。これが私の理想の形です。

もはや地球にアレルギーを止める要因はない

病態の複雑さ、現状の診断や治療の課題、治療薬開発の市場状況、環境問題、社会問題など、アレルギーを取り巻くあらゆる現状やトピックをこの本は網羅しています。『アレルギー』は大事な一冊で、非常に多くの課題を改めて考えさせられました。研究者が提供するエビデンスに基づく情報が詰まっています。アレルギーとは何か? 是非皆さんにも読んでいただき、理解を進めていただきたいです。

村田 幸久 東京大学大学院農学生命科学研究科准教授

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むらた たかひさ / Takahisa Murata

東京大学大学院農学生命科学研究科准教授。2004年、東京大学農学部獣医学専攻卒業。博士(獣医学)。2004年よりイエール大学医学部研究員を経て、2005年東京大学農学部助教となる。2013年より現職。

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