単なる増税のみでは財政・経済が危うい

単なる増税のみでは財政・経済が危うい

世界は厳しい試練の局面を迎えた。欧州債務危機に端を発した世界経済動乱には収束の道筋すら見えない。現に格付け会社のS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)は1月13日、ユーロ圏9カ国の国債を一斉に格下げした。ユーロ中核国のフランスの国債も、ついに格下げとなった。欧州情勢は、一段と混迷しつつある。危機は実体経済、金融市場という二つのルートからグローバルに拡散する気配を強めている。

わが国にも試練が続く。2012年度の国債発行予定額は、新規財源債44・2兆円、復興債2・7兆円、財投債15兆円、借換債112・3兆円の合計174・2兆円。11年度当初予定額に比べて、4・6兆円増。国債発行に歯止めがかからない。

そこで、大きな政治的焦点として浮上したのが消費税率引き上げだ。野田佳彦首相も「税と社会保障の一体改革」に「政治生命を懸ける」と不退転の決意を明らかにした。言うまでもなく、その土台にあるのが消費税率引き上げにほかならない。

民主党は、税制調査会と一体改革調査会の合同会議において、消費税率を14年4月に8%に、15年10月に10%に引き上げる方向で野田首相に一任した。したがって、民主党は消費税率引き上げで意思統一されたと思いきや、引き上げに反対する一部議員による離党騒ぎが発生。それだけではない。いまだに党内には反対の声がくすぶっている。

話し合いの土俵に乗ることを求められた野党が「党内をまとめてからではないか」と冷ややかにボールを投げ返したのも無理からぬ話だ。党内事情が泥沼化して、民主党が溶解することは構わないが、これ以上国民を戸惑わせることは許されない。

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