ジャガーのユニークな「もうひとつのビジネス」 伝説的な車両を後世に残すクラシックワークス
走り出して、また驚いた。ギアがスムーズに1速に入るのだ。2速を経由してから1速に、というのが、私の身体が覚えている操作方法だったが、そんな必要はない。すっと1速に入る。
さらに、シフトダウンするときも、ダブルクラッチを踏まなくてよい。かつては、ギアをスムーズに入れるために、クラッチペダルを踏んで(クラッチを切って)ギアをニュートラルポジションに入れてクラッチを離し、もういちどクラッチを切って下のポジションに入れたものだ。その必要もない。さっとシフトダウンできる。
聞けば、私が運転した車両は、ジャガー・ランドローバー・クラシックワークスが用意している5段のフルシンクロタイプの変速機に換装されているとのこと。4235ccの直列6気筒エンジンが発生する、265馬力のパワーをしっかり味わえる感じだ。
足まわりも、担当のニコラス・ウィルスン氏(Head Of Commercial, Classic JLR)によると、ブレーキシステムとサスペンションのダンパーを交換しているそうだ。
おかげで車両の動きはビシっとしていて、ステアリングは適度にクイック。路面からの情報もしっかり感じられる。ストッピングパワーもあるので、安心感も高い。
最新のスポーツカーとはまた違う味わいがあり、なにより細身の美しいボディをもつEタイプを平常心で乗りまわせるのは、何にも代えがたい魅力だ。その車両で「25万ポンド=約4875万円」と教えてもらった。
広大な「おもちゃ箱」の中にある宝石
ジャガー・ランドローバー・クラシックワークスは、1万4000㎡の敷地に、作業用ベイと「コレクションルーム」と呼ばれる2段式の立体駐車装置が同居している大きな建物。作業用のベイは、54も置かれている。どのクルマも高価で貴重なだけに、清潔で設備も整っている印象だ。
「コレクションルームは、私たちにとってたいへん重要なモデルを保管しておくところです。でも、ここを私たちはトイボックス(おもちゃ箱)と呼んでいます」と、先のウィルスン氏は笑顔でいう。
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