ジャガーのユニークな「もうひとつのビジネス」 伝説的な車両を後世に残すクラシックワークス

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1964年のシリーズ1から最後のシリーズ3まで、さまざまな車体、さまざまなエンジンのジャガーEタイプが保管されていた(筆者撮影)
1964年のシリーズ1から最後のシリーズ3まで、さまざまな車体、さまざまなエンジンのジャガーEタイプが保管されていた(筆者撮影)

ウィルスン氏が案内してくれた建物内には、戦前から最新のモデルまでがところ狭しと置かれていた。まさにトイボックス、というか、自動車好きには宝石箱だ。

レース車両やプロトタイプ、さらに映画に登場した車両や英国王室で使われた車両など、世界に1台しかないような車両がずらり。

「ここは言ってみればライブラリーですね。すべての車両が本で、そこにはそれぞれの物語が書かれています。1台ずつが、そのクルマにしかないストーリーを持っているのです」

「たとえば」と、ウィルスン氏が指摘したのは、一見オンボロに見えるランドローバーだ。塗装がまだらになっている。

使われてきた状態を大事にして保存されているランドローバーも多い(筆者撮影)
使われてきた状態を大事にして保存されているランドローバーも多い(筆者撮影)

「1948年製というごく初期の車両で、7台つくられたうちの1台です。すこし前に“発見”されて、ここに持ち込まれました。まだらになっているのは、最初の塗装から何度も何度も上塗りされてきたのが、剥げてきているからです」

さらにウィルスン氏は、この塗装についてこう考えている。

「歴代オーナーが色を変えたのには背景があって、この車両が1948年からたどってきた物語が、各層のペイントに埋め込まれていると捉えています。だから、あえてこのままの状態にしているのです」

ユニークな“もうひとつのビジネス”として

ジャガーとランドローバーがこれまでに生産してきたモデルのバリエーションや台数は、トヨタの足元にも及ばないほど、ごく限られている。

一方、そうであるがゆえに、物語を持つ1台1台を丁寧にレストアすることで、バリューを保持することができるのだ。

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レストアの方向性についても、上記のようにちゃんと言語化している。そこが彼らの“もうひとつのビジネス”のユニークな点であり、ほかが真似できないものなのだ。

【写真】改めて見てみたい美しきジャガー「Eタイプ」とジャガー・ランドローバー・クラシックワークスの仕事
小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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