「身近な死」の瞬間を映像にした作品が伝えたい事 人は死をどのように受け入れ最期を迎えるのか

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男性は身体的な痛みだけでなく、さまざまな苦痛のため怒りが湧いていた。それらの苦痛がホスピスでの生活で緩和され、怒りの消失にもつながったのではないだろうか。溝渕監督は言う。

「痛みが緩和されると、死への恐怖に支配されなくなる。代わりに願いや希望だったり、祈りだったりみたいなものが生まれてくる」

命の大切さについて考える場に

「人の死」に向き合い続ける溝渕監督。映画『近江ミッション 願いと祈りと喜びと』は5作目となる(写真:本人提供)

落ち着きを取り戻した男性は、「最期は自宅で」という願いを叶える。自宅に戻った後の4週間を、妻や孫などの家族や、近所に住む友人たちと過ごし、息を引き取った。

「僕の映画が映し出すリアルな死が、命の大切さについて考える時間を深めていったり、その副作用として人にやさしくできたり、自分や大切な人の死への悲嘆に備える準備ができたりすることにつながればうれしい」と溝渕監督は言う。

冒頭の男性のように、「バンザイ」と感謝して人生を終えるにはどうすればいいか。映画からその答えのヒントが見つかるかもしれない。

今村 美都 医療福祉ライター

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いまむら みと / Mito Imamura

1978年、福岡県生まれ。がん患者・家族向けコミュニティサイト『ライフパレット』編集長を経て、2009年独立。がん・認知症・在宅・人生の最終章の医療などをメインテーマに医療福祉ライターとして活動。日本医学ジャーナリズム協会会員。

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