予防歯科の先進国で「甘いケーキ」が日常の衝撃 日本の「歯磨きの仕方」ではむし歯は防げない

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スウェーデン王立イエテボリ大学は、世界大学ランキング(2021年)で歯学部門1位の大学です。歯科研究機関として最高峰に位置します。いわば、むし歯にならない方法を知っている、プロ中のプロ。そんな人たちが、職場で大量の甘いケーキを食べている。「甘いもの」=「むし歯」でないことは私も知識として知っていますが、それを実感させられる出来事でした。

甘いものは、歯をむし歯にするむし歯菌にとって、格好のエサです。とはいえ、むし歯のメカニズムを知り、食べ方を工夫すれば、どれだけ甘いものを食べても、むし歯リスクは限りなくゼロに抑えられるのです。

たとえむし歯になっても、初期の段階で治療すれば、痛みもありません。イエテボリ大学の教授たちは、そのことを熟知しているから、ケーキを好きなだけ食べられるのです。

データで見る砂糖の摂取量と、むし歯の関係

甘いものをたくさん食べてもむし歯にならないのは、スウェーデン人の砂糖の摂取量とむし歯の罹患率を見ても明らかです。次のグラフは、2021年の各国における1人当たり砂糖消費量を示したものです。

スウェーデンが34.1キロ、日本が17.7キロで、スウェーデン人は日本人の2倍近い砂糖を消費しています。また、スウェーデンは欧州諸国の中でも、とりわけ砂糖の消費量が多い国の一つです。

一方、むし歯の罹患率(3歳、6歳、12歳の平均)は、スウェーデンで17.3パーセント(2021年スウェーデン国立保健福祉委員会)、日本は33.1パーセント(厚生労働省令和2年歯科疾患実態調査)。砂糖をスウェーデンの半分ぐらいしか摂らないのに、スウェーデンのほうが日本よりも、むし歯罹患率が低い傾向にあります。

むし歯予防というと、歯磨きを思い浮かべる人も多いでしょう。

歯磨きについては、2018年に実施された「Oral Health Global Report」という調査データがあります。世界40カ国、約4000万人を対象にしたもので、1日で歯磨きにかける時間が最も長いのは、日本人の平均6.4分でした。日本人は歯磨きにかける時間が、世界一長い国民なのです。

つまり、日本人は砂糖の消費量が少なく、歯磨きもちゃんとしている。それなのに、むし歯の罹患率は、スウェーデン人より高いのです。

そこには日本人の口腔ケア常識が、世界標準から40年以上遅れているという現実があります。

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