財務省案の新型軽減税率に自公猛反発 軽減税率そのものが本末転倒ではないのか
「年間数千円の還付金を配るのに、ここまで大げさな仕組みが必要なのか」。そんな素朴な疑問を抱いた国民もいるに違いない。
財務省が「日本型軽減税率」と名付けた消費税の還付案のことだ。2017年4月、税率を10%に引き上げる際の低所得者対策として、9月に入って急浮上した。
仕組みの肝は、10月から希望者への配付が始まるマイナンバーカードと、ポイントの活用。買い物ごとにマイナンバーカードをカードリーダー端末にかざし、「還付ポイント蓄積センター」(仮称)にポイントを蓄積。ポータルサイトを通じ現金が還付される。
「とても頭のいい人が精緻に考えた案という感じだが、本当にうまくワークするのか」「独居老人など、さまざまな生活の形があるという現場をわかっていない案だ」
9月11日に財務省が還付案を自民、公明各党の税制調査会で説明すると、出席した国会議員から異口同音に反対や批判の声が上がった。
特に失望感を隠せないのが、飲食料品の税率を8%にする、欧州型の軽減税率の議論を主導してきた公明党だ。
「これは軽減税率といえるのか。まったく説得力がなく、納得できない」
財務省は案を軽減税率の一種というものの、公明党は「似て非なるもの」とし、憤慨している様子だ。
仕組みが複雑でコストもかかるとの批判
マイナンバーカードの取得は任意なので、普及が進まない懸念がある。消費税の還付と組み合わせれば、これが一気に進むとの思惑もある。
だが、あまりに多くの問題が指摘されている。
まずは仕組みの複雑さとコスト。公明党の主張する軽減税率は「高所得者にも恩恵が及ぶ」など、専門家から欠点だらけと批判される代物だが、消費者が税の軽減を実感しやすいシンプルさがある。
しかし、日本型軽減税率は、買い物ごとに別途軽減額を計算し、還付する手間がかかる。財務省は、蓄積センターの構築費用を「非常に複雑な銀行のシステムに約3000億円かかるのとはまったく違う」と説明し、カードリーダーもレジ更新時の改修で十分対応可能とする。が、中小・零細企業まで対応できるか、疑問が残る。
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