電気・ガスなし築73年「廃団地」が満室の不思議 廃団地を90万円で購入して貸し出したら…
建物の古さ以上に問題だったのは、空室率が20%超という状態に加え、入居者のうちの3分の2ほどが滞納していたこと。その打開策として入居者にDIYしてもらうというやり方を取り入れた。
最初は入居者層を変えようと3部屋をリノベーション、もう1室、単にスケルトンにしただけの部屋を用意して内見会をした。リノベすれば決まるだろうと踏んだわけだが、何も手を入れていない部屋になぜか人気が集中。内見会後問い合わせがあってすぐに決まった。
一方、リノベ済みの部屋が決まったのは半年後。それほど明らかに差が出るならスケルトンの状態で貸してみようと決意。DIY資金として家賃の3年分を支給して貸すという方式を取ることにした。
家賃3年分を支給といっても電気関係、給排水管の改修、下地の床上げなどを行うとその大半が飛んでいってしまうため、最終的にはDIYで部屋を作っていくことになるが、これが人気を呼んだ。吉浦さんが自社ビルをDIY可にしたのは今よりももっとDIYがマイナーだった時代。吉浦ビルは評判を呼び、2016年以降は満室が続いている。
やり方次第では不利な物件も魅力的になる
この成功から吉浦さんはやり方次第では遠い、古いなど不利な立地でも建物、借り方、使い方に魅力があれば人は集まると確信した。だとすれば、人口減少が著しい大牟田市や北九州市をこのやり方で変えたいと考え、2年半ほど前から両市を中心に空き家を購入し、再生に取り組んでいる。
当然、旧畑田団地改め「門司港1950団地」も入居者が自分でDIYすることが基本。家賃は、最初3年間は月額1万円として2024年8月からフェイスブックなどSNSを利用して入居者を募集し始めた。
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